シチリアで見かけた顔の鉢

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マヨルカ焼き

先日、TBSにて放映している長寿旅番組「世界ふしぎ発見」(番組サイトのバックナンバー)で、イタリア・シチリア島を取り上げていた。数年前にも久しぶりに訪れ、その時と同じ光景が移ったりして、ちょっと懐かしかったので見入ってしまった。

番組の中で、カルタジローネのマヨルカ焼きについてのくだりがあった。

「あれ?いつかラグーザで見たものと一緒だ!」と思い、その時撮った写真を見直してみた。それが上の写真、ちょっと不気味な人の顔の陶器だ。

そして、これとともに少しラグーザのことを思い出した。

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アラブ男とシチリア娘の悲恋

シチリアはイタリアの最も南に位置していることもあり、古くからアラブ文化とキリスト教文化が共存していた。島の南東部、シラクーザやラグーザは特にアラブ文化がいたるところに見られる。

そして、顔の鉢の話は約1000年もさかのぼる。

アラブ人とシチリア人が争うことなく共存していた町で、アラブ人の男性が美しいシチリア人の女性と恋に落ちた。

しかしその女性は、男性の故郷に彼の妻と子供がいることを知る。

そして怒りにまかせ、そしてその男性を故郷に返さぬよう首を切り、あろうことかその男性の首をバルコニーにおいてバジルを植えた。

その女性は彼を独占することができ、そしてなぜかそのバジルはよく育った。

そしていつの間にかシチリアでは、顔が描かれた鉢にバジルを植えるとよく育つといううわさが広がり、陶器が良く売れた、という話である。

これはスペイン・マヨルカから伝わった陶器、マヨルカ焼きだ。シチリアでは、ラグーザのすぐ近くのカルタジローネの名産として知られる。そして、すぐ近くのラグーザでもあちこちにマヨルカ焼きが使われている。

ラグーザ・イブラで見つけた陶器店

もっとも最近ラグーザを訪れたのは、ちょうど今くらいの時期、7月ももうすぐ終わるという頃だ。

ラグーザには仕事も含め、計4回訪れている。いつも他のイタリアの都市とは違う異国文化を感じることができ、シラクーザとともにお気に入りの町だ。

その時の旅行記は以下をご参照いただきたい。

過去に撮影した画像が、PCのハードの故障によりなくなってしまい、シチリアの町々を撮影しなおしながら巡ったときだった。この時は、イタリアに来たことがなかった筆者のパートナーとともに旅していた。ラグーザももちろん初めてだ。

ラグーザはスペリオーレ(新市街)とイブラ(旧市街)に分かれており、ラグーザを見て廻るなら圧倒的にイブラが良い。

その中心となるドゥオーモ前の広場に到着した時、その陶器店がすぐ近くにあった。

ラグーザ・イブラのドゥオーモの表

ラグーザ・イブラのドゥオーモの表

ラグーザ・イブラのドゥオーモの裏

ラグーザ・イブラのドゥオーモの裏

その時は単なる陶器のアクセサリー屋さんくらいにしか思っていなかったが、女性であるパートナーはその店が気になるようだった。

ちょうど昼時だったので食事を先にして、午後再びその店がオープンした時に訪れようとした。

再びドゥオーモ前に戻り、さっそく陶器店に入る。そして足元に画像の顔の鉢が置いてあるのに気付き、ぎょっとした。

きっと誰もが驚くに違いない。何しろ大きさも人の顔のサイズ、パッと見には生首でも置いてあるかのように見えるからだ。

お店のスタッフはそんなことも気にせず、陶器でできたアクセサリー類を見るよう勧めた。

だが、どうしても足元のそれが気になって仕方がない。そこで、英語が話せるスタッフに「これは何ですか?」と尋ねた。

しかし、彼女の英語はイタリア語なまりで聞き取りにくく、おおよそしか話は分からなかった。まして、上記のような悲恋の話があるとは、その時全く説明されなかったのだ。

その後も旅は続き、いつの間にかこの顔の鉢のことはずっと忘れていた。

当ブログや会社のウェブサイトでは、ラグーザのことをよく紹介している。こんな陶器の画像をサイトに載せるつもりもなかったのだが、先日見た「世界ふしぎ発見」でこの鉢の話に触れ、やっと意味が分かった。

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シチリアには人を惹きつける魅力がある

当社ウェブサイトでも書いているシチリアは、主に島の南東部だが、北西部のパレルモ、北東部のタオルミーナなど訪れるべきところは多い。また、パレルモから小一時間で訪れることが出来るチェファルーなどの「イタリアの美しい村々」に登録された村もある。

シラクーザやラグーザのような明るい色の石を多用した建物群と、上述の通りキリスト教だけではない異国文化との融合による独特な雰囲気は、イタリア本土ではなかなかお目にかかれない。

そして何より、おおらかで人懐っこいシチリアの人達。

現代の日本は合点がいかないことばかりで、時々日本を脱出して海外に移民したいと思うことがある。その時真っ先に候補となるのは、イタリアの、それもシチリアだろう。

たった一つの旅番組で、いろいろ思い出し、いろいろ思いを巡らせてしまった、という話である。

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