ちょっと残念な、でも美しいヨーロッパの町々

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フランスの最も美しい村のひとつ コンク

【フランスの最も美しい村のひとつ コンク(筆者撮影)】

CNNトラベルのWeb記事に、タイトルからしてずいぶん極端な「ほとんど観光客がいない美しいヨーロッパの都市20」というのがあったので、ちょっと気になってみてみた。

いったい、どういうことだろうか?

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残念だけど魅力的な理由

有名な観光都市ヴェネツィア、パリ、アムステルダムなどは、オーバーツーリズム(過剰観光)化され、いつ訪れても混雑し、自撮りをするにも一苦労という書き出しで始まる。

だから観光客がさほど多くない、それでいて魅力的な町を紹介したい、という趣旨らしい。

詳しくは上記紹介ページをご覧になればわかるが、取り上げられた都市は以下の通り(50音順)。

  1. アバディーン(スコットランド、イギリス)
  2. アンカラ(トルコ)
  3. アントワープ(ベルギー)
  4. エレバン(アルメニア)
  5. オーフス(デンマーク)
  6. オランジュ(フランス)
  7. クルジュ=ナポカ(ルーマニア)
  8. サラエボ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)
  9. デブレツェン(ハンガリー)
  10. トリノ(イタリア)
  11. トビリシ(ジョージア)
  12. トロンヘイム(ノルウェー)
  13. ノリッジ(イギリス)
  14. ハーグ(オランダ)
  15. プリシュティナ(コソボ)
  16. プロブディフ(ブルガリア)
  17. ベルン(スイス)
  18. マルメ(スウェーデン)
  19. ミンスク(ベラルーシ)
  20. ヴロツワフ(ポーランド)

例えばイタリアのトリノ(冬季オリンピック開催地、テニスファンなら次のATPファイナル開催地)や、ベルギーのアントワープ(「フランダースの犬」で知られた画家ルーベンスの家など)、スイスのベルン(スイスの首都、蛇行したアーレ川のほとりに築かれた12世紀にさかのぼる古都)などは、比較的日本人にもなじみがある観光都市だ。その他にも西欧の都市は、何かとなじみがあると思う。

一方、サラエボ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)やプリシュティナ(コソボ)は、1990年代に発生したコソボ紛争の悲惨さをまだ覚えている人が多いのか、およそ日本人はわざわざ観光に出かける都市ではない。

注目はジョージアのトビリシではないだろうか?

グルジアから国名を変え、近年イメージがガラッと変わった。アスリートや力士も輩出し、ジョージアのワインは今大変注目されている。

記事のタイトルは「20 beautiful European cities with hardly any tourists」だが、筆者があえて「ちょっと残念な」と書いたのは、これらの都市が今まで近隣の大きな観光都市に埋もれていて意外と知られていない、という事実があるからだ。

わかりやすく言うと、例えばイタリアのトリノは、ミラノやヴェネツィアのような大挙して観光客が訪れる都市と比べると、圧倒的に観光客は少ない。

しかし、イタリア王国最初の首都であり、宮廷文化が花開いた歴史的都市でもある。また、トリノ周辺はイタリア屈指のグルメ地域で、アルバの名物トリュフをふんだんに使った料理を楽しむことが出来る。

本当の魅力ある都市は観光都市ではない

ここからは筆者の持論だが、最初に紹介した有名な観光都市ヴェネツィア、パリ、アムステルダムなどは、単なる通過点でよいと思っている。

これらの都市には必ず空港があり、日本からのフライトが就航している。最初は時差に慣れるため、また帰国前は(みんな大好きな)ショッピングにこれらの都市を利用すればよい。

以前のヴェネツィアは日本人がかなり多かったが、近年久しぶりに訪れたら中国、韓国などアジア各国から観光客が訪れていた。そしてご多分に漏れず、どこでもかなりうるさい。

例え美しい教会や世界遺産があっても、大都会のような喧騒と、今やゴミに溢れた観光都市は、さほど魅力的とは思えない。

だが、これらの都市から一歩ディープにその国の魅力的な町々に足を踏み入れると、様子は一変する。

紹介された都市は違うかもしれないが、観光客はほとんど見られず、地元の人々が普通に生活しているのを見ることが出来る。

昼食時から数時間はほとんどすべての店がクローズし、夕方まで買い物はできなくなる。その間の町は、ひっそりと眠っているようだ。

夜になれば、日本のように24時間開いているコンビニエンス・ストアなど全くないため、急な買い物にも不便だ。

町には宿泊施設が1軒しかないかもしれない。

それはデラックスなホテルではなく、ゲストハウスのような、でも家庭的なもてなしが魅力のものかもしれない。そのような宿泊施設は、全ての部屋にバスタブなどないだろう。日本人は必ずバスタブ付を要求するが、ヨーロッパではシャワーだけの文化の国だってある。

このように、旅はその国の生活を覗くこと、そして日本の常識とは違う不便さを体験することだ。

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まとめ

これら「ちょっと残念な」都市には、大都市にはない魅力が必ずある。

筆者の会社で推しているイタリアやフランスの「最も美しい村々」は、まさにそのような都市の宝庫だ。

振り返ってみてみれば、訪日観光客は京都や奈良ばかりではなく、ネットを頼りに奥深くまで訪れているではないか?

それが彼らにとっての本当の魅力であり、大都市は帰国前のショッピングの都市と化している。

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