Linuxでも使えるオープンソースの会計ソフトウェア「Gnucash」の使い方

Gnucashロゴ

提供会社の都合でサービス終了というリスクがあるのがクラウド型ソフト。

一方、ダウンロード型ソフトはその心配がない。そして、OSを問わず利用できるオープンソースソフトウェア(OSS)なら、どの会社のパソコンにも対応可能だ。

今回、利用していたクラウド型会計ソフトのサービス終了に伴い、新たな会計ソフトとしてOSSの「Gnucash」を自社の会計帳簿として採用したので、その使い方を紹介する。

オープンソースの会計ソフト「Gnucash」のセットアップ

このソフトウェアは、個人または小規模ビジネス向けのオープンソースの財務ソフトウェア。Windows、Mac、Linxのいずれにも対応している。だから、当社のようなOSの異なる複数のパソコンでデータを共有している会社に適している。

Windows、Macだけなら他にも優れた財務ソフトウェアは数多くありそうだ。しかし、Linux対応となるとGnucash以外には見当たらない。

Gnucashのインストール

まずは各パソコンにインストールしてみる。

Windows、Macは以下公式サイトからインストールファイルをパソコンにダウンロードし、ファイルをダブルクリックするだけでインストールできる。

Linuxの場合、「ソフトウェアの追加と削除」では最新バージョンがダウンロードできないため、Flathubからダウンロードの上インストールする。2020年6月現在の最新バージョンは4.1だ。

SqLite3のインストール(オプション)

次に、標準でSqLite3がインストールされているMac以外のOSでは、別途SqLite3をインストールしておく。

なぜ、SqLite3をインストールしておくべきかというと、SqLite3を使用することによりデーターベース形式で保存できるからだ。

Gnucashのデフォルトの保存ファイルはxmlファイル形式だが、入力のたびにバックアップファイル・ログファイル・ロックファイルが追加される。そのため、一つの帳簿ファイルにつき膨大な追加ファイルが作成されることになる。

一方、データベース形式のSqLite3ファイルで保存しておけば、ログ以外の余分なファイルが形成されることはない。

MySQLに詳しければ、大容量でデータ保存が可能なMySQL形式で保存するのがベストだろう。しかし、筆者はMac、Linux共にMySQL環境を作成したものの、どうしてもサーバーに接続できなかったので、よりライトなデータベース、SqLite3を使うことにした。これなら難しい設定は不要で、データベースファイルとして保存ができる。

Windowsは公式サイトからダウンロード&インストール、LinuxはSqLite3 database driver (libdbd-sqlite3)を端末で直接インストール、またはSynapticパッケージマネージャを利用してインストールすることができる。

SqLite3のインストールは、xmlファイル形式での保存を好まない場合のオプションとして考えてもらいたい。

Gnucashで新規会計帳簿を作成

インストールが終わったら、さっそく新規に帳簿を作成してみよう。

あらかじめ帳簿ファイルを保存したいフォルダに、新しいフォルダを作成しておく。今回、この記事用にフォルダ名を「test-account」としておいた。

「ファイルを新規作成」で以下ウィンドウが開く。

途中でいろいろ設定できるが、ここではなにも設定せずに、完了までそのまま進む。勘定科目については、後で自由に追加・削除・編集が可能だ。

Gnucash 新規ファイル作成

最後に「名前をつけて保存」画面で、Data Formatを「sqlite3」にして保存する。保存先は、あらかじめ作成しておいた「test-account」フォルダを指定する。

Gnucash 名前をつけて保存

保存したファイルを開くと、以下画面となる。

Gnucash 仕訳帳画面

新規ファイル作成時に勘定科目を設定していなくても、デフォルトで資産、収益、純資産、費用、負債が表示される。これが仕訳帳トップページだ。

各項目の左側の▶︎をクリックすると、それぞれ細かい勘定科目が表示される。

表示された勘定科目を修正する場合はメニューバーの「編集」を、追加したい場合は「新規」を、不要な科目は「削除」をクリックする。これで、自分の会社にあった勘定科目を設定する。

資産、収益、純資産、費用、負債といった各部名やデータ入力をしない科目は、「編集」画面でプレースホルダーにチェックを入れておく。

開始残高の入力

実際にデータを入力していく前に、開始残高、前会計年度の繰越金額を入力しておく。

流動資産のうち、当座預金を例にとってみる。仕訳帳ページの流動資産から「当座預金」をクリックすると、以下ページが開かれる。

Gnucash 入力画面

会計年度が1月1日から始まる場合は、日付を1月1日として、説明に「繰越金額」と入力しておく。「資金移動」欄は、プルダウンから「純資産:開始残高」を選択する。

そして、当座預金の前会計年度残高を「入金」に入力する。ここでは仮に500,000円としておいた。

入力すると、Sqlite3ファイルでは自動保存される。xmlファイル形式の場合は入力後保存しなければならない。

当座預金同様に、普通口座、小口現金、保証金に仮の前期繰越金額を入力した後、純資産の「開始残高」を開くと以下の通りとなる。

Gnucash 開始残高画面

先ほど当座預金の繰越金額として500,000円と入力したものが、開始残高画面では自動で「増加」に表示されている。

各帳票類の出力

さらに、収益の部の売上と費用の部の仕入を適当に入れてみた。その仕訳一覧が以下の通り。

Gnucash 開始残高画面

このように、毎日振替伝票をつけるように仕訳帳に入力していけば、勘定元帳も自動で作成されていくので大変便利だ。

次に、試算表と総勘定元帳だが、これも簡単にできる。

メニューバーの「帳票」から「収益・費用」→「試算表」を選ぶ。表示されたものはPDFファイルで保存できるし、別途HTMLファイルにしてブラウザで確認することもできる。

Gnucash 試算表

総勘定元帳は、メニューバーの「帳票」から「資産・負債」→「総勘定元帳」を選ぶ。

すぐに元帳形式では表示されない。オプション編集にて「勘定科目」タブにて「全て選択」し、「表示」タブで勘定科目名にチェックを入れると、以下のように表示される。

Gnucash 総勘定元帳

実際に、今期の会社決算書類のドラフトとして、

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • 総勘定元帳
  • 試算表

までPDF形式で作成してみた。

自社の決算書類なのでお見せできないのが残念だが、これらの書類は法人税申告書の下書きとして使うことができる。

Gnucashは、青色申告にも対応したソフトウェアだ。

ファイルの保存

データを入力し終わったら、Sqlite3ファイルは自動的に保存される(xmlファイルは「保存」をクリック)。

すると、保存されたファイルの格納フォルダは以下の通り、ログファイルが作成される。

Gnucash ファイル保存

Gnucash ログファイル

ログファイルは入力ごとに作成されるため、相当な数になる。必要に応じて、古いファイルから順次削除しても構わない。また、ログファイルは不要という場合は、全て削除しても何ら問題はない。

ちなみに、xmlファイル形式で保存したフォルダ内は、以下のように様々なファイルでいっぱいになる。

Gnucash xmlファイル形式の保存

家計簿にも使えるGnucash

筆者は家計簿をつけたことはないが、Gnucashの本来の用途から考えると、家計簿にも利用できるのが大きな利点だ。

財布の入出金だけをつけていくならエクセルでも構わないが、家計は財布の中の現金だけではない。

今はクレジットカードやキャッシュレス決済など、後々まとめて支払うもの、収入についても様々ある。

それを全て関係づけ(リレーション)、複数の勘定に渡ったトランザクションをみることができる複式簿記になっているGnucashの利用価値は高い。

家計簿としてGnucashを使うことについては、以下記事が参考になったので、備忘録として記載しておく。

また、Gnucashのチュートリアルは以下ウェブサイトにて紹介されているので、わからないことがあったらここを参照すると良い。

Gnucashチュートリアル・コンセプトガイド

【ざっくりLinux!のおすすめ本】

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