32ビットのパソコンはいつまで使うことができるのか|ざっくりLinux!- 106

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パソコンイメージ

Image by Photo Mix from Pixabay

古いWindowsパソコンを再生する方法としてよく知られている方法は、無料のOS、Linuxをインストールして再利用するというもの。

Linuxのデスクトップ向けOSは、ほとんどが無料で利用できるオープンソース・ソフトウェアのため、Windowsを消去してLinuxを入れれば、常に最新サポートの状態で利用できる。

例えば、WindowsXPやWindows7が搭載されたパソコンだって、Linuxで見事に再生できる。しかし、この頃発売されたパソコンは、32ビット版であることが多い。

そこで問題になるのが、ビット数。

いったい、32ビット版パソコンはいつまで使うことができるのだろうか?

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32ビットと64ビット

パソコンには、32ビットと64ビットの2種類ある。

32ビットは「2の32乗」、64ビットは「2の64乗」の情報を一度に処理できることをあらわす表記で、使用できるメモリの量の違いと覚えておこう。

64ビットのパソコンが登場したのは、2003年頃。それからしばらくは32ビット版、64ビット版のパソコンが販売されていたが、現在販売されているパソコンは64ビット版のみ。

パソコンのOSも、ハードのシステム情報にあわせて選ばないといけない。32ビットのパソコンには32ビット対応のOSを、64ビットには64ビット対応のOSをインストールする。

まだLinuxを使っていない場合、自身のWindowsパソコンが32ビット・64ビットのどちらかを確認する方法として、以下ウェブページにて紹介しているので参考にしたい。

リコー | パソコンのOSとビット数の確認方法(Windows XP/Vista/7/8/8.1/10/11)

2038年問題

「2038年問題」とは、UNIXやLinuxなどのオペレーティングシステムやプログラミング言語において、日付表現のために使われている32ビット符号あり整数が、2038年1月19日にオーバーフローを起こしてしまう可能性がある問題のこと。

1970年1月1日0時0分0秒を起点としたエポックタイム(UNIXタイムスタンプ)の表現に用いられている秒数が、この日に32ビット符号あり整数の最大値である2,147,483,647を超えるため、オーバーフローが起こるというものだ。

まだまだ32ビットで稼働しているオフコンはもちろん、この問題に直面するのは、筆者のように古いパソコンにLinuxを入れて再利用しようと考えている人たちだろう。

この問題への対策を、OS別にみた。

MacOSは、すでにこの問題を回避できるようになっている。しかし32ビットのアプリを動作できるのは2018年リリースのMacOS Mojaveまでで、それ以降は64ビットのみの対応となっている。

Windowsは、この問題の原因となるtime_t型というC言語を使用していないので、32ビット版でも2038年問題は起こらないとされている。しかし、こちらもMacOS同様、現在は64ビット版のみである。

では、Linuxディストリビューションについてはどうだろうか?

そもそも、この問題は「UNIXやLinuxなどのオペレーティングシステムやプログラミング言語において」起こる問題だとされている。32ビットのLinuxディストリビューションは、当然対象となる。

ここで興味深い記事があるので、以下に紹介しておこう。

この記事によると、Debianが2038年以降も動作できるように取り組んでいるとのこと。

現時点で、32ビット版OSを提供し続けているDebian及びその派生ディストリビューションであれば、2038年問題を気にすることなく、使い続けることができることが期待される。

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32ビット版に対応するオープンソース・ソフトウェア

OSが32ビット版で使い続けることができても、アプリケーションが32ビット版に対応していないと、デスクトップパソコンとしては機能しない。これは一般的なLinuxパソコン利用者にとって、2038年問題よりはるかに深刻だ。

そこで、試しにVurtualBoxに最新のDebianをインストールして、2024年現在、各アプリがどのように動作するのか確かめてみた。

Debianのインストール時にプリ・インストールされたのは、FireFoxとLibreOffice。そのうち、ブラウザの定番FireFoxは、ESR版で115.8.0(2024年3月現在のESR版最新は115.9)がインストールされていた。ほぼ最新バージョンだ。

オフィスソフトの定番LibreOfficeのバージョンは、7.4.7.2(2024年3月現在の最新は7.6.5)、こちらもほぼ最新バージョンに近く、使うのに何ら問題はない。

メールソフトはどうだろう?筆者が普段使用しているThunderbirdはプリ・インストールされていなかったので、Gnomeソフトウェアからインストールしてみた。Mozilla系列のThunderbirdはFireFox同様115.8.0で、こちらも最新バージョンと言って良いだろう。

つまり、32ビット版をリリースし続けるDebianを使う限り、プリ・インストールされるアプリは、今後も最新に近いバージョンであるということだ。

しかし、それ以外のアプリではインストールの際に32ビット版が利用できるかどうか、その都度確認しなくてはならない。

例えば、画像編集アプリのGIMPは、Debianのターミナルで、

$sudo apt install gimp

と打つだけで、簡単に最新版をインストールできる。執筆時点でインストールできたのは、2.10.34(最新は2.10.36)だった。

また、テキストエディタとして人気のVisual Studio Codeも試してみた。こちらは公式サイトにて、2019年2月にリリースされたバージョン1.32を最後に、32ビット版はリリースされなくなった。詳細は以下に記されている。

ちなみに、このバージョン1.32をインストールしてみたところ、何の問題もなく利用できた。

会計ソフトのGnuCashについては、Gnomeソフトウェアにてインストールできる。最新バージョン5.5に対して、インストールできたのは4.13。しかし、GnuCash公式サイトによると、

ほとんどの Linux ディストリビューションには GnuCash が含まれています。最新版では無いかもしれませんし、デフォルトではインストールされていないかもしれません。ですが、ディストリビューションで提供されているバージョンの GnuCash を利用することをお勧めします。

とあるので、問題ないようだ。

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結論:32ビットのパソコンはまだまだ使うことができる

パーソナルコンピュータという通り、使う人によって用途はさまざま。その用途に合わせたアプリケーションをインストールして使うものだ。

古いWindowsパソコンが32ビットであっても、OSをLinuxに入れ替えれば、通常のパーソナルユースであれば何ら仕様に問題はないということがわかった。

例え「2038年問題」があろうとも、まだまだ先の話。その頃には、より具体的な対応策があるかもしれないし、パソコンというものが劇的に変化しているかもしれない。

ただし、32ビットのパソコンは大抵メモリの容量が少ない。アプリが進化し、より大きなメモリを必要とするときは考えた方が良いかもしれない。

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