最近、初心者向けLinuxを検索していると、やたらと目につくディストリビューションがArch LinuxベースのManjaroだ。すでに自分にあったLinuxはKona Linuxだと決めたばかりだが、どうも気になるので試してみた。
今回インストールするのは、つい先月リリースされたばかりの最新バージョン、Manjaro Linux 20.0.1 Lysia Xface 64-bitだ。
初挑戦!Arch LinuxベースのLinux、Manjaro
ウィキペディアによると、Arch Linuxは「シンプリシティ」「ミニマリズム」「エレガンス」さ、コードの正しさに焦点を当てて開発されていて、DebianやRed Hat系とは違う、独立系と呼ばれるディストリビューションとのこと。
細かいことはWikipediaを詳しく読んでもらえれば良いと思うが、ざっくり派としてはとても気になる点がある。
それは、少しではあるがやっと覚えかけてきたDebianやUbuntu系の端末のコマンドが役に立たないのではないかということだ。
ただし、様々な方のブログ記事を拝見すると、初心者にはとっつきにくかったコマンド中心のArch Linuxとは違い、Manjaroはインストール時からGUI環境を用意したものだという。それなら、Arch Linuxのコマンドがどんなものか分からなくても、UbuntuベースのようにGUIだけで太刀打ちできるのではないだろうか?
そんな甘い考えのまま、ついこの間セットアップしたばかりのKona Linux Ubuntu Editionを削除して、Manjaro Linuxをインストールしてみた。
まずは以下公式サイトにアクセスし、ダウンロードページへ。
ダウンロードページには以下4つのエディションがダウンロードできるようになっている。
- Xfce
- KDE Plasma
- Gnome
- Archtect
このうち、ArchitectはTUI(テキストユーザインターフェース)なので却下。
上記3エディションから一番ライトなXfceエディションを選んだ。最新バージョンは特にLTSではないらしいが、Linuxはアップグレードも無料なので気にしない。
「Get XFCE 20.0.1」をクリックすると64-bitのみとの注意書きがあり、その下にDownloadと書いてあるのでそのままクリック。
ダウンロード後、イメージファイルをUSBに保存するBalena Etcherというアプリを使ってUSBに保存。その後、USBから再起動してManjaroの画面が立ち上がる。デスクトップにあるインストーラーをクリックして、インストールを開始。
最初から日本語で表示されるGUIインストーラーが立ち上がるので、インストールに戸惑うことはない。
途中、オフィス系ソフトの選択画面があるのが、他のLinuxとは違うところだ。ここは使い慣れているLibreofficeを選んでおいた。
その後、画面の指示に従うまま進むうちにインストールは完了、再起動する。
Manjaroはどれだけ初心者向けか検証してみる
初期画面は上記の通り。
「ようこそ」ウィンドウが開くが、すぐに閉じる。見た目はLinux Mintと同じように、画面左下にメニューアイコンがある。
違うのは、画面右下にログアウトアイコンがあること、もちろんメニューにもある。すぐに「ソフトウェアの更新」が立ち上がり、必要なアップデートを行う。
ところで、Ubuntuベースの毎日のおまじない「sudo apt-get update & sudo apt-get upgrade」はArch Linuxではどうするのだろうと思い、ネットでググってみたら、なんとも見慣れないコマンドだった。
$ sudo pacman -Syy $ sudo pacman -Syu
Arch Linuxのパッケージシステムは、この「pacman」というらしい。
どうもなじめない…。ちなみに端末画面は以下の通り。少し透過されて、背景が透けて見えるタイプだ。
とにかく、デフォルトでどんなアプリがインストール済みか調べてみた。普段よく使う以下アプリは、ほぼ最新バージョンでインストール済みだった。
- Libreoffice 6.3.6
- GIMP 2.10.18
- Thunderbird 68.8.0
Kona Linuxとは違い、残念ながらデフォルトのブラウザはFire Foxだったので、後でChromiumを追加することにする。
それぞれのアプリを開いてみると、GIMP以外は日本語化されていない。
Ubuntuベースならsynapticsパッケージマネージャで追加するのだが、Manjaroにはsynapticsパッケージマネージャらしきものがない。
いろいろ調べてみると「ソフトウェアの追加と削除」で対応できるようなので、Libreoffice 日本語化ファイル、Thunderbird 日本語化ファイルは「ソフトウェアの追加と削除」からインストール。
その他、いつも使っているVisual Studio CodeとFile Zillaを追加インストールしておいた。これで普段使いにセットアップはできたようだ。
デフォルトのブラウザをChromiumに、メーラーはThunderbirdに設定しておけば、メニューを開いたときにカテゴリーを検索することなく、「ウェブブラウザー」「メーラー」から立ち上げることができる。
また、その他のLinux同様よく使うアプリをパネルに追加することができるのだが、画面右下にアイコンタイプで表示されるのが、少し変わったところだ。
Manjaroのレビュー
ここまで使ってみて感じたことは、
「そういえば、セットアップに端末を使っていない」
ということだった。Linuxにおいて、端末を使わないということは、初心者にとってどれほどストレスフリーなことだろう。
また、ネット上からサードパーティーのアプリをダウンロード・インストールも試してみた。
筆者はクラウドストレージにMEGAという無料ストレージを使用していて、デスクトップアプリとモバイルアプリがある。このアプリをインストールする際、Ubuntuベースの時は.debという拡張子のインストールファイルをダウンロードするのだが、Arch Linuxは.tar.xzという見慣れない拡張子のファイルだ。
だが、ダウンロードしたのちはこのファイルをダブルクリックするだけでインストールが完了し、まるでWindowsのexeファイルのようにダブルクリックだけでインストールすることができる。
そして、Xfceエディションということもあり、重たいという感じは一切ない。起動時間もKona Linuxほどかからず、ブラウザやメーラーもストレスなく利用することができる。
初期セットアップで、各アプリの日本語環境を揃えるのが多少面倒だが、それでも端末を使うことなくできるのでわかりやすい。その意味で、ManjaroはArch Linuxのコンセプトの「シンプリシティ」「ミニマリズム」「エレガンス」さに加え、GUIで全てが可能なディストリビューションだと感じた。
一点だけ、筆者から言わせると、ちょっと遊びがなく堅い感じがしてならない。
Kona Linuxの方が、どちらかというとビジネスにもホビーにもあっているように感じる。このまましばらくManjaroを使うか、それともKona Linuxに戻すかは悩ましいところだ。
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