温泉旅館矢野の「のりだんだん」に魅せられて出かけた道南の旅①

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レストラン矢野外観

日頃「水曜どうでしょう」の旅のスタイルに興味津々の筆者は、当然のことながら「おにぎりあたためますか」もよく見ている。

その中の「道南の旅」シリーズで紹介された、松前の温泉旅館矢野の「のりだんだん」が気になって気になって仕方がないので、思い立って道南へ行ってきた。2003年の十勝沖地震後の復興で函館を訪れて以来、実に16年ぶりである。

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連休の北海道行き、足はどうする?

目的地の松前は、松前漬が有名だが、マグロも有名で、毎年「松前城下マグロ祭り」が行われている。2019年は3連休の9月22日開催だ。

当然、「そんなピーク時に旅館など早くから満室だろう」と思ってネットで調べていたら、運よくその温泉旅館矢野に1部屋空きが出た。これは「道南へ行け」と言われているようで、すぐに予約。この旅館の部屋確保から、今回の旅は始まった。

旅館の予約が出来たことで浮かれていたが、ふと落ち着いて考えてみる。

連休であることに変わりはなく、間際(計画したのは番組の再放送を見た9月はじめ)で飛行機など取れるわけがない。

「水曜どうでしょう」の影響で、最近の国内旅行の足は、好んでバス旅を選んでいる。今回もバスで移動しようと調べると、なんと東京~青森のバスと青森~函館のフェリーを組み合わせた「函館きっぷ」というものがあった。

東京~青森間のバスは深夜バス、4列の格安バスと独立3列シートの個室タイプのリクライニングシート・バスから選ぶことが出来る。これを使って道南まで行こう!

ところがそんなに甘くはない。

3連休に合わせた便はすでに満席だった。すでに旅館は予約してしまったので、あきらめるわけにはいかない。

だが、「函館きっぷ」は帰りであれば予約できそうだ、それなら、行きだけ何とかしよう。

次はJR、ちょっと高いが今は北海道まで新幹線で行くことが出来る。これならどうだと調べてみたら、意外に空きがあった。

松前は道南の中でも最南端、函館の手前の木古内まで新幹線で移動し、そこから路線バスを使う。

道南まで出かけてたった1泊では、せっかくのマグロ祭りもゆっくり見ることが出来ない。そこでもう1泊は函館で宿泊し、その後「函館きっぷ」でゆっくり寝ながら東京まで帰ることにした。

運よく、翌日の函館も連休ながら「辺見旅館」というイカ料理が自慢の旅館を予約することが出来た。これでどうにか2泊4日(車中1泊)の旅の形は出来た。

1日目~一番の目的「のりだんだん」

朝6時、東京駅を出発した北海道新幹線は、10時過ぎには木古内駅に到着した。

ちょうど台風17号が発生し、出発した日は九州方面に上陸するかどうかというときだったが、北海道は晴れ。

駅前の道の駅で一休みし、路線バスを待つ。

そして乗車した路線バスで、木古内から松前までは約1時間半、ひたすら走る。

昼過ぎ、やっとのことで松前に到着した。バス停の真ん前は海、津軽海峡だ。近くには道の駅もある。ここから旅館までは歩いて5分ほどだ。

松前の海

ここでもう一度、今回の旅の目的を整理しよう。

温泉旅館矢野で「のりだんだん」を食し、翌日は松前城下マグロ祭りでマグロをたらふく食べることだ。

まずは第一の目的、「のりだんだん」から。

目的達成のため、バス停から一目散に旅館へ向かう。翌日がマグロ祭りだというのに、聞こえるのはパチンコ屋のやかましい音のみ、それ以外はとても静かな町だ。町の人も観光客もほとんどいない。

「のりだんだん」は旅館と同じ棟の「レストラン矢野」で食べることが出来る。

旅館の方は「いかにも旅館」という建物感だが、レストランの入口は味がある(冒頭画像)。だが周囲に人もいないので、何となく入りにくい。

それでも目的のため、ドアを開ける。すると入り口付近には客はなく、奥に地元の人らしきグループが食事をしているだけ。

どうも入りにくい。本当にここでよかったのだろうか?と思わせる感じだ。

声をかけると、奥から女性スタッフが出てきてくれて一安心。運ばれてきたメニューを見て、まよわず「のりだんだん」(定食?)と生ビールをオーダーした。遅めの夏休み初日だ、ビールくらい飲みたくなる。

そして念願の「のりだんだん」が運ばれてきた。

付け合せはやはり松前漬、そして茎わかめの漬物とみそ汁だけだ。これで1,350円、普通に考えたらちょっと高めと思うが、一口食べて料金も納得。

のりだんだん

これが念願の「のりだんだん」だ。

松前で獲れる寒海苔(2月ごろの収穫)を使った2段の海苔弁当、これを松前の人達は「のりだんだん」と呼んでいるという。

温泉旅館矢野だけのオリジナルメニューではないが、この旅館の「のりだんだん」が有名になったのは、冒頭に書いた「おにぎりあたためますか」で北海道のスター、大泉洋が絶賛したからだ。

シンプルな海苔弁当なのに、醤油と寒海苔の味わいは、まるでいくら丼を食べているかのような贅沢な香りがする。

後で若女将に聞いたのだが、春海苔ではこの味は出せないらしい、あくまで寒海苔を使うということだった。

収穫量も少ない寒海苔は、春海苔と並んで道の駅でも販売していた。寒海苔は5枚で3,500円、とても高級な海苔の値段だ。

これで今回の旅行の目的は半分以上達成したようなもの、とっても満足な昼食だった。

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温泉旅館矢野

この旅行を実現させてくれたのは、「のりだんだん」を提供する温泉旅館矢野で、3連休にもかかわらず一部屋空いたから。しかし、旅館では、夕食にも朝食にも「のりだんだん」のメニューはない。

では、なにがこの旅館の売りかというと、松前の味覚と丁寧な仕事に尽きると思う。

夕食時、テーブルごとに若女将が挨拶に来てくれ、いろいろ話を聞かせてくれた。

その時に言っていたように、旅館自体は少々古く目新しい施設は何もない。だが、どれも丁寧に清掃し使っているのが良くわかる。部屋も特別ゴージャスというわけでもないが、清潔感がある。大浴場も同様だ。

そして待ちに待った夕食。今回の宿泊プランは旅館公式ウェブサイトから予約した、

【公式HP限定】竹プラン【若女将おすすめ 海の幸と郷土料理】松前蝦夷あわび・本マグロ付き

というもの。

泉旅館矢野の夕食

プラン名通り、夕食にはマグロと蝦夷あわびに加え、イカの姿煮にウニの茶わん蒸しなど、松前の料理がテーブルに広がる。

ちょっと驚いたのは、根ホッケのチャンチャン焼きだ。北海道では、鮭以外でもチャンチャン焼きにするのだと、初めて知った。旅館オリジナルの冷酒とともに頂く。

根ホッケのチャンチャン焼き

その後運ばれてきた松前の郷土料理の極みは、くじら汁。一言でいえばけんちん汁にくじら肉が入ったようなものだが、なぜかとても懐かしい味がした。

松前の郷土料理くじら汁

そして最後のごはんもの。

にしんそばの小椀といっしょに運ばれてきたのが、これまた小椀の「のりだんだん」。小椀なので2段にはなっていなかったが、昼間食べたものと全く同じ味にまた出会うことが出来た。

にしんそばとのりだんだんの小椀

すっかり満足した食事で、旅の1日目が終わった。

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