旅行に携わるものとして東北復興を願い、ことあるごとに東北へ小さな旅行を続けてきた。今回は令和改元の10連休を利用して出かけた新潟と東北3県を巡る旅だ。
初日は季節外れの寒波と雨だったが、念願の只見線乗車が叶った。
2日目は只見線のほぼ真ん中、会津宮下から会津若松まで再び只見線に乗車し、東山温泉でちょっと豪勢な川床ランチのあと、飯坂温泉まで移動する(予定)。
しかし、相変わらず「旅にトラブルはつきもの」だ。
2日目 会津宮下~会津若松~飯坂温泉
前日とは打って変わって快晴の只見川沿線。本日は再び六角さんよろしく只見線で「呑み鉄」、と行きたかったが、あまりに良い天気なので、それはやめて車窓を楽しんだ。
前日は雨でよく周りを見なかったが、駅の前にはこんな看板があった。
1977年、テレサ・テンがレコードのキャンペーンで、この会津宮下を訪れたのだそうだ。そのことが詳しく看板に書かれていた。テレサ・テンの唄が好きな人以外は、さほど興味のないことかもしれないが…。
今日は東山温泉の旅館で行っている川床ランチを楽しもうと予定していた。ちょうど今日からこのランチサービスが始まるとのことで、初日に楽しめるというわけだ。
ところが、只見線で会津若松へ向かう途中、その旅館から携帯に電話が入った。
担当者によると、旅館周辺はかなりの強風で、戸外で食事を楽しめる状態ではないという。
車窓からは快晴の様子しか見ることが出来ず、そんなに吹いているものかと再度聞いてみたが、5~6分も耐えられないだろうとのこと。
それならば仕方がない、まだ支払いをしていなかったのでそのまま予約をキャンセルした。
会津若松の地酒
東山温泉でゆっくり食事をしようと思っていたのに、時間が空いてしまった。
とりあえず会津若松の一つ手前の七日町駅で降りて、ぶらぶらしてみることに。ここも前日とは打って変わって快晴で、少し汗ばむくらいだった。
駅から歩くとすぐにレトロな建物が…。
ネットで旅館を探していた時に見た「渋川問屋」だ。どうもランチもやっているらしい。入口の前にメニューがあり、ステーキランチがあった。前日は奥会津の地物の料理だったので、ランチに肉を食べてもいい。
もう少し歩いて他に良いものがあれば、と思っていたら、これまたレトロな、スギ玉のある酒蔵が…。
今回の旅のもう一つの目的は、東北の地酒をめぐること。ちょうどいい、ここに入って見てみよう。
中では酒造りの見学もできるらしいが、すぐに目に入ったのは、昨晩旅館の女将さんに勧められて頂いた「飛露喜」だ。
そういえば、会津若松の地酒だと説明してくれた。とても美味だったことを思い出し、有無を言わず購入して、その他気に入った濁り酒とともに自宅へ送ってもらうよう手配した。
それからまた少し歩き、どこか良いランチの店はないか探していると、広々とした交差点にまた酒屋があった。
こちらはレトロ感はないが、福島をはじめとした地酒を取り扱っているという「まつ本酒店」だ。
中に入ると、気さくなおじさんがいて、日本酒の原酒はどうかと勧められた。なんでもこの店オリジナルで、ウィスキーのポットスチルを利用して作っている、微発泡の酒らしい。
レジわきにその瓶がずらっと並んでいたので、食後の飲み物として購入した。
しかし、ビール瓶同様王冠でふたをされていて、あいにく栓抜きを持っていなかったと思っていたら、なんと、可愛らしいレモンの形をしたプラスチックの栓抜きをサービスでつけてくれた。
これなら、移動途中に飲むことが出来る。
2日間で、ずいぶん地酒めぐりは充実した感じだった。
瓢箪から駒のステーキランチ
さて、ランチに戻ろう。
いろいろ探したが、やはり肉の魅力にかなうものはなく、渋川問屋まで戻ってランチにした。
休日で人出は多いのに、ちょうど空いたばかりなのか、すっと入ることが出来た。ランチメニューに載っていた「会津塩川牛ステーキコース」はグラムによって違い、夜の食事も楽しみだったので80グラムのコース(2,200円也)を頼んだ。
レトロな雰囲気と牛ステーキのランチに満足して店を出て、会津若松駅までぶらぶら歩き、福島駅行きの高速バスに乗車。
そして、福島駅で飯坂線に乗り換え、小さなローカル電車で飯坂温泉までは大した時間ではなかった。
2泊目の宿「飯坂温泉 旅館新松葉」
飯坂温泉に到着し、旅館までの道のりを歩く。川沿いに大小旅館が建ち並び、いかにも温泉街といった感じだ。駅から5分ほどで、予約しておいた旅館に到着。
おや、ホームページとはちょっと違うぞ、なんだか外観は少しみすぼらしいような…。
この旅館も、何故かゴールデンウィークに奇跡的に空いていた旅館だったのだが、予約の決め手は何と言っても「オーストリッチプラン」「源泉 貸切露天風呂」という言葉だ。
また、大正4年から変わらぬ大理石造りの大浴場と、かの齋藤茂吉が入ったという露天風呂が自慢らしい。
フロントでご主人らしい人に予約した旨を伝え、さっそく「貸切露天風呂」に入りたいと伝えると、なんと貸切ではないと言われた。
楽天トラベルからのメールにも書いてあったので、そんなはずはないというと、大女将らしきおばあちゃんがでてきて「空いていれば入っちゃっていいよ、鍵かければ貸切になるから」とのこと。
ご主人の方を向いて「そうなの?」という感じで見ると、「今空いているからどうぞ」と言われた。
なんなんだ…
それから、大女将が夕食の時間を聞いてきたので、7時くらいからと伝えた。それにうなずいて部屋を案内してくれるのだが、その時又「夕食は何時からがいいですか?」という。
どうやら耳が少し遠いらしい。
同じ時間を伝えると、大女将が今度は貸切露天風呂の説明をする。食事の場所の説明と、時間確認と、露天風呂の話が3度ほど続き、やっと部屋に入ることが出来た。
部屋は可もなく不可もなく、いわゆる温泉宿の部屋だ。窓からは川を望めるのだが、虫が入ってくるらしく、開けていられない。仕方なく、すぐに露天風呂へ向かう。
旅館特有のぐるぐると迷路のような廊下を進み、やっと露天風呂へ。
ところがここは鍵がかからない。さっき大女将が言った言葉は何だったのだろう。
仕方なく中に入って、内側から部屋の鍵(旅館でよくある、20センチくらいのプラスチックの棒がついたやつ)をかんぬきの様にかけて、外から開かないようにした。
やっと入れた、源泉かけ流しの露天風呂は最高だった。
外から川の途中にある小さな滝の音がして、かの齋藤茂吉もこの滝で一句読んだと言われている。
なるほど、この旅館はこの温泉でもっているのか。後から調べてみると、この旅館の温泉は飯坂温泉の中でもなかなかのものらしい。
予約メールにも書いてあった「オーストリッチプラン」の夕食はというと、物珍しさはあったものの期待以上のものではなく、普通な感じ。
でも、上げ膳据え膳でゆったりと食事が出来ることに幸せを感じ、同じ部屋で食事をしていた家族連れとともに、これまた面白い仲居さんを肴にして食事を楽しんだ。
翌朝朝食前にも入りたくなり、今度は大正4年から使われているという大理石風呂を勝手に貸切にして入ってみた。
建物はちょっと見劣りするかもしれないが、何とも満足した温泉めぐりだった。
チェックアウトの時には、大女将とご主人がそろって見送ってくれた。どうやらこの2人は親子なのだろう。
そして、近いので「愛宕山公園」に是非登ってみるといいと言われた。東京ではなかなか感じない、地元の人とのふれあいが楽しい旅となっている。
だらだらと書いているが、まだ2日だ。あと2日分続く。
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