ガラパゴス日本の弊害|飲食店の大量ドタキャン問題と旅行業界

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ガラパゴス諸島 イメージ

【ガラパゴス諸島 イメージ】

近頃、居酒屋やレストランで連絡もなく予約したお客が来ない、いわゆる「ドタキャン」が多いと聞く。

1~2名なら店側も諦めがつくだろうが、10~20名ともなると、仕入れた食材やそのための人件費などを考えるとたまったものではないだろう。

その対応策として、クレジットカードの番号を聞く(入力させる)店が増えたと聞いた。

旅行業に携わる者から見ればごくごく当たり前のことが、やっと今頃になってこのことが浸透し始めていることに、日本のガラパゴス化の弊害があると感じた。コンパや飲み会の幹事をする人は、充分理解してほしい。

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海外のホテル予約にクレジットカード保証は当たり前

かなり以前から、海外のホテル予約の際大半のホテルは、予約時に宿泊者のクレジットカード情報を求めるのが通例だ。

これは旅行業界でいうNo-Show(無連絡キャンセル及び未宿泊)へのリスクとして、万が一に備えてそのクレジットカードから取消料を引き落としますよ、ということだ。

飲食店の予約がスマートフォンで手軽にできるようになった今では、同時刻に複数の店を仮押さえをすることが多いそうだ。

その結果として、もっとも参加者の評判の良い店に行き、そのほか予約した店には連絡もせずに放置する状態が、冒頭のドタキャンに繋がっているものと推察する。

こういった事例はまだいいほうで、たちの悪いお客は、いたずらに複数の店に予約を入れたり、団体といわれるほどの人数をドタキャンする人たちだ。

旅行業界に携わるものから見れば、「最初から保証としてクレジットカード情報を聞いておけばいいではないか」と思うのだが、実情はなかなかそうはいかないらしい。

というのは、ひいきにしてもらっている人から予約をしてもらえたら、万が一それがドタキャンになってもキャンセル料を支払ってほしいとは、なかなか言えないだろう。

また、昨今では「そんな対応の悪い店はSNSで拡散するぞ」的な言い方をされたら、店側は泣き寝入りするしかない。

実はこれが、ガラパゴスな日本の弊害のひとつだと思う。

上述の通り、海外のホテルでは何と言われようと「頂くべき取消料は頂きますよ」という強い姿勢で常に予約を受けている。

それに反し、日本ではなじみのお客だったり、店の評判を悪意に広められることを避けてしまうという、日本独特の風潮がある。

クレジットカードは持ち主の信用を表す

海外のホテル予約について、クレジットカード情報を受け取る理由はもう一つある。

それは、カードホルダーの信用性である。

海外では、クレジットカードがIDカードの代わりとしてみなされている。クレジットカードは、その人の住所や連絡先がわかり、なおかつその人の信用性を裏付けるということだ。

それならば、飲食店でもIDカードとしてクレジットカード情報をどんどん聞いたほうがいい。

単なる電話番号だけではない情報を店側が取得しているので、そう簡単にドタキャンはせず、きちんと事前に連絡をするようになるだろう。また、複数の飲食店を同時に予約するようなこともなくなるかもしれない。

これは旅行業界でいう、ダブルブッキング防止策のひとつでもある。

No-showの時はサービス提供者が取消料をカードから引き落とし、なおかつ個人の情報を取得しているので、優位に話を運ぶことが出来る。

このブログでも何度か書いたと思がうが、そもそも利用客とサービス提供者は契約において対等のはずである。

お客様は神様ではない、対等な契約者だ。

それを誤解していることも、ガラパゴスな日本の弊害のひとつだろう。

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「仮押さえ」こそガラパゴス

ドタキャン問題から少し離れて、関連する旅行業界のことを書いてみる。

日本では簡単に「仮押さえ」が出来るが、海外ではそうはいかない。それは、日本では海外旅行は1か月前までキャンセル無料、という変な都市伝説があるからだ。

これは主にパッケージツアーを作ってきた旅行業界に原因がある。

1か月前までキャンセル無料なら、複数のツアーを「仮押さえ」しておいて、直前にどれにするか決めても問題ないわけだ。このことは旅行に限らず、冒頭の飲食店予約にもつながる。

しかし、海外のホテルをはじめ現地宿泊パッケージなどはそうはいかない。

プレミアがつくものであれば、予約時にデポジット(予約金)を要求され、それは申し込み時から払い戻し不可がほとんどだ。ホテルもイベントや国際会議が行われる特別機関であれば、そのような取り扱いが起こる。

こうなると、とりあえず「仮押さえ」などということはできない。なにしろ、予約時から高いデポジットを支払っているのだから、真剣に考えて予約をするだろう。

そう、「仮押さえ」こそ日本独特のガラパゴスな考え方で、真剣にそのサービスの利用を考えていない証拠だ。

予約が入れば、サービス提供側で様々な人が動く。

海外の専門通訳などは、空き状況を聞いただけでその通訳は自分の予定に入れるほどだ。だから通訳手配は、特別気を付ける。

そこに、日本独特の考え方など通用しない。

まとめ

飲食店の予約も海外旅行も、利用しようとした時は真剣に考え、ひとつに絞って予約をすれば、お互い気持ちよく利用できるだろう。

何でも「とりあえず」といった考え方は、ガラパゴス的だということを理解したほうが良いということだ。

【ご注意】文中で「ガラパゴス」という言葉を、よくない意味で使用しているが、これはけっして南米・エクアドル領のガラパゴス諸島を貶めるつもりで使用しているのではないことをご理解頂きたい。現在の日本において、「ガラパゴス」という言葉は「グローバルスタンダードではない、閉鎖的な日本独自の考え」を揶揄する社会通念として浸透しているので、使用させてもらった。

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