DebianやFedora系と比べ、Arch系ディストリビューションは使いにくいイメージがあるが、最近筆者はもっぱらこれにハマっている。そんな中、DistroWatchでも注目の、2021年に人気が上がりそうなGaruda Linuxを試してみた。それは思いのほか使いやすかった。
Garuda Linuxについて
近年、さまざまな国から新しいディストリビューションがリリースされる中、Garuda Linuxはインド発という珍しいディストリビューションだ。インド発だからといって日本語に対応していないわけではなく、ホームページでも言語選択の筆頭に日本語がくるようになっている。
Garuda Linuxは、BTRFSというファイルシステムを採用している、次世代のディストリビューションだ。その特徴は、
「ローリングリリースでの更新前にシステム構成をバックアップする自動スナップショット機能をもち、また、いつでも最新のスナップショットにすぐにアクセスできる」
ことだ。ざっくり派の筆者には、より詳しい説明はできないので、ウィキペディアに書かれている説明を読んでみると良いだろう。
また、KDEプラズマのパフォーマンスを最大限発揮できるよう、VirtualBoxでの試用は勧めていない。加えて、KDE Dragonizedバージョンのダウンロードファイルには、マルチメディア、ゲーム用に最適化された高速で応答性の高いLinuxカーネル、Linux-tgkを採用したGeming Editionまで用意されている。そのため、推奨システム要件は高めだ。もちろん、32-bit版などない。
【最小システム要件】
30GB以上のストレージ
4GB RAM
【推奨システム要件】
40GB以上のストレージ
8GB RAM
opengl 3.3以上のビデオカード
また、KDEの他にGnome、Xfce、Cinnamon、Mate、LXQt-kwin、Wayfire、Qtile、BSPWM、i3wm(後半はどんなものかもわからない)の各デスクトップ環境を用意している。
とにかく、パソコンのパフォーマンスを最大限引き出せる、ちょっと贅沢なディストリビューションのようだ。
Garuda KDE Dragonizedをインストール
まだ日本ではあまり認知されていないのか、Garuda Linuxに関する記事は少ない。僅かな記事をもとに、インストールを試みる。
インストーラは簡単なのだが、実はセッテイング完了まで3回インストールしなおした。なぜかというと、日本語設定に苦慮したためだ。
USBから起動すると、以下のような画面になる。
1回目は、この画面で言語をja_JPに設定して行おうとした。すると、インストーラが文字化けしてしまうのですぐにシャットダウンし、再び起動して英語のままインストールしてみた。しかし、途中のディスク設定を間違えたため、インストール失敗(後述)。
2回目は、初期画面はデフォルトのまま、英語でインストールしてみた。再起動後、他のディストリビューションで行ってきたように、fcitx-mozcをインストールし、ロケール設定をしてみたのだが、日本語環境にもならず、ましてや日本語入力などできない。
3回目は、初期画面の言語・タイムゾーン・キーボードセッティングを全て日本にして、文字化けしたままインストールした。再起動後、文字化けしたままの「ソフトウェアの追加と削除」で、ipafontとfcitx-mozcをインストールし、その後、ファイルシステムのDolphinのホームフォルダにある隠しファイルの「.profile」を開き、
export XMODIFIRES=@im=fcitx export GTK_IM_MODULE=fcitx export QT_IM_MODULE=fcitx
を追記して再起動してみた。今度は、めでたく日本語環境にて立ち上がる。
さっそく、メニューの「設定」から「Fcitx設定」を選ぶと、KDEデスクトップでは「kcm-fcitx」が必要という表示が出るので、再び「ソフトウェアの追加と削除」からkcm-fcitxをインストールして再起動。これでようやく、日本語環境、日本語入力ができるようになった。
以下はインストーラ画面(英語版)。気をつけるところは、ディスクに関する点だ。クリーンインストールの場合はErase diskを選び、すぐ下のプルダウンで「Swap(with Hibernate)」を選ぶ。No Swapではインストールに失敗する。
Garuda KDE Dragonizedのレビュー
今まで、Arch系は #Manjaro、#AlterLinux、#BluestarLinux を試してきたが、概してArch系は設定までが面倒だったり、難しかったりする。そして、今回Garuda Linuxをインストールしてみたわけだが、設定までの苦労を忘れるほど、筆者のLinux史上かなり上位ランクの使い心地だ。いつも使っているソフトウェアなどをインストールした後の、レビューをいくつか紹介する。
ローリングリリースならではの最新版ソフトウェア
公式サイトにも書かれている通り、主なソフトウェアは端末など使うことなく、ほぼ「ソフトウェアの追加と削除」からインストールが可能だ。Fedora同様、常に最新バージョンをインストールできるので、使っていて気持ちが良い。
例えば、LibreOfficeを検索し、「LibreOffice-fresh」と日本語パックを選択すれば、下記の通り最新バージョンがインストールできる。
Chromeも、通常ではChromiumしか選択できないが、この「ソフトウェアの追加と削除」からGoogle Chromeをインストールできる。
KDEならではのデスクトップ環境
冒頭のデスクトップ画面の美しさはもちろん、ファイルシステムのDolphinもご覧の通りだ。ネオンのようなフルカラーのアイコンが、使っていて飽きが来ない。画面下のドックタイプのアイコンも、独特だ。
ドックにある歯車アイコンは、KDEシステム設計。ここで主なセッティングを行う。いつも最初に設定する画面ロックもここで解除できる。
デスクトップはGlobal Themeから、4通りのデスクトップ環境を選ぶことができる。冒頭画像のデフォルト環境名は「Sweetified Plasma」だ。
見ていて楽しいPacman
Arch系のパッケージ管理システムはpacmanだ。ルーティーンのアップデートは
sudo pacman -Syyu
と打ち込む。アップデートをインストールするときの朱色の「c」が、ゲームのpacmanのようで、見ていて楽しい。
ちなみに、端末からソフトウェアをインストールするときは
sudo pacman -S ソフトウェア名
だ。
まとめ
最近、CentOSが長期サポートを打ち切り、ローリングリリースのStreamにシフトしたこともあり、ローリングリリースはこれからのLinuxディストリビューションの主力になるかもしれない。事実、最近のDistroWatchのトップ20には、人気のManjaroをはじめ、4つもArch系ローリングリリースのディストリビューションがランクインしている。
大規模なアップグレードをする必要がなく、長期間使用できるローリングリリースは、これからも続々とリリースされるのではないだろうか。そして、ローリングリリースの代名詞とも言えるArch系ディストリビューションも、Garuda Linuxに限らず新しいものがリリースされていくのではないかと、密かに期待している次第だ。
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コメント
まだ、アジア語圏には対応していないようですね。ライブ起動で日本語を選択すると豆腐文字になりますのでインストールは英語のままで後からnoto-fonts-cjkなどの日本語フォントをインストールすると良いかと。
IMEのexportの設定構文は.xprofileだとばかり思っていましたが、既存の.profileでもイケるんですね。
ウェルカム画面からキャッシュのクリアやリポジトリのミラーリーストの更新ができるのは便利になりましたね。
コメント有難うございます。
記事に書いた通り、参考になるものが少なく、日本語設定では苦労しました。
お知らせいただいた方法もありかと思いますので、再度挑戦してみようと思います。
exportの設定構文は、他のディストロの場合.bashrcに書くところですが、Garudaの場合、そこでもあれこれ検索してたどりつきました。
設定さえ済ませれば、使いごごちは良いディストロと思います。
これからもご教授のほどよろしくお願いします。