奇古堂の携帯用台湾茶器|私の逸品

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奇古堂の携帯用台湾茶器は、私の逸品のひとつ。毎年秋が深まってくると、戸棚からこの茶器セットを取り出して、ゆっくりと台湾茶をいれる。香りを楽しみゆったりとした時間を過ごすことも好きだが、実はこの箱を開けたくてお茶を楽しんでいるようなものだ。

初訪問の台湾で一目惚れ!奇古堂の携帯用茶器セット

今からちょうど20年前、一度は行ってみたいと思っていた台湾旅行を思い立った。その頃はまだ、唯一の羽田発国際線だったチャイナエアラインを予約し、航空券と宿泊手配だけで2泊3日で出かけた。目的は
  • 夜市に行く
  • 台湾茶器の店に行く
  • 台湾グルメ
だった。夜市も台湾グルメの一つだから、グルメ以外は台湾茶器が目的だ。

ひとつ気になると凝ってしまう性分で、イギリスに出かけたときは紅茶とティーセットに凝り、イタリアへ出かけたときはエスプレッソとカフェ・シェケラート(エスプレッソを氷でシェイクしたもの)に凝った。
だから、台湾茶に凝ったちょうどその時、台湾茶器を本場で買ってこようと思ったわけだ。

すでに日本でも人気の台湾茶器の専門店、奇古堂は台湾福華大飯店(ハワード・プラザ・ホテル)の地下街にあった。



狭い店内にいたご主人は、長い間日本にいたことがあるそうで、日本語がペラペラだった。すぐにお茶を入れてくれ、こちらが聞くともなく勝手にあれこれ話し始める。だが、周りにある台湾茶器のかわいらしさに心奪われ、話は上の空だった。パートナーは面白かったらしく、ご主人の話に聞き入っている。

そして、こちらが茶器セットを買いに来たことを知ると、ひとつの箱を出した。携帯用の茶器セットで、見た目も美しい竹製の箱に入っている。ご主人曰く「これなら落としても中の茶器は割れないよ」と言っていた。これをもって、飛行機の中でもお茶を楽しむのだそうだ(本当か嘘かは定かではない)。

からくりの茶器箱

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美しい竹製の茶器箱は良いのだが、どうやって開けるのか?そう思っていると、ご主人はいたずら小僧のように笑って、
「こうやって開けるんだよ」
と言って、寄木細工のようになっている箱の横の一片をスライドさせた。
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そう、この箱にはからくりが仕掛けてあるのだった。スライドした一片が箱をロックしている竹片で、スライドさせることによりロックが外れて上蓋が開くようになっている。上蓋もスライド式だ。
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上蓋をスライドさせると、中には茶壺、茶海、聞香杯、茶杯が動かないようにきっちりと動かないように収められている。茶壺は、台湾茶器の中でも人気で、これだけ集めている人もいる。通常の茶壺よりも小さめで、手の中にすっぽりと治るほどのサイズだ。この携帯用の箱に収まるようにデザインされたのだろう。茶海も同じく、この茶壺とセットで使用するサイズになっている。
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左上:茶海、左下:茶壺、右上2つ:茶杯、右下2つ:聞香杯

聞香杯、茶杯は2つずつの二人用だ。とても薄く、ちょっとした力で割れてしまいそうなほどだ。動かないようにきっちりとしたサイズのため、この箱に収めるときも割ってしまうのではないかといつも気を付けている。

改めて箱に全部を収めると、カラカラとも音がしない。中で完全にそれぞれの茶器が動かないようにロックされた状態だ。これなら、箱ごと落としてしまっても、本当に中の茶器は割れないかもしれない。

一目で気に入って、このセットを買っていこうと決めた。二人用セットで、当時日本円で3万円代後半だったと記憶している。値段を聞いて少し驚いたが、台湾旅行の目的の一つでもあったし、この先2度と手に入らないかもしれないと思ったら、即決だった。

台湾茶の楽しみ

実は茶器のことも、台湾茶のこともたいして知識があるわけではない。しかし、奇古堂のご主人に教わったことを思い出しながら、いつも暖かい台湾茶をゆっくり飲みたいときにこの箱を出して楽しんでいる。

外出先でお茶を楽しむセットになってはいるが、ひとつ足りないものがある。お茶を入れる前、茶壺や茶海を温めるためにお湯をかけるのだが、そのお湯をかけこぼすのに必要なのが竹茶盤だ。携帯用茶器セットを購入したことで満足し、一緒に買ってくることを忘れてしまった。台湾茶は必ず100℃のお湯をを使用する。沸き立てのお湯で予め茶器を温めておくことが大事だ。

仕方がなく、竹茶盤だけは日本で別途購入した。台湾茶は全てこの竹茶盤の上で入れるのだ。


熱々にした茶壺に茶さじ一杯の茶葉を入れ、沸き立てのお湯を注ぐ。蓋を閉め、再びその上からお湯で温める。少し蒸らしたのち、お茶を茶海に注ぐ。そして、聞香杯へ注ぎ、聞香杯の上に茶杯を逆さに被せて上下ひっくり返す。ゆっくりと聞香杯を持ち上げれば、茶杯にお茶が注がれた状態になる。

聞香杯は、読んで字のごとくお茶の香りを楽しむためのものだ。茶杯にお茶を移したのち、聞香杯で香りを嗅ぐ。お茶のことは詳しく知らないが、この入れ方でただの烏龍茶でも桃のような香りがする。烏龍茶だけでなく、凍頂烏龍茶やプーアール茶など、いろいろなお茶を楽しむと、その香りも一緒に楽しむことができるのが、台湾茶だ。

茶壺に入れた茶葉は、3回はお茶を入れることができる。奇古堂のご主人曰く、1〜2回しか入れていない茶壺は、冷蔵庫に入れて翌日も楽しむそうだ。

茶葉がなくなると、いつも横浜の中華街へ行って台湾茶専門店で、気に入った茶葉を買ってくる。だが、専門店の茶葉でなくても良い。


台湾の人たちは、蓋付のマイティーカップを持っていて、オフィスなどでお茶を楽しむという。茶壺も聞香杯も使わないのが今風だが、それぞれのスタイルがあるのだろう。

夏の間はさすがに飲みたいと思わないが、暖かい飲み物が恋しくなるこの時期に、台湾茶を入れる一連の所作とお茶を楽しむ、その間に流れるゆったりとした時間が好きだ。
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