SOHOで旅行代理店を起業 8 – SOHOの決算

決算イメージ

当社の決算月は12月なので、2月末日が決算による確定申告期限である。

すでに、SOHOの経理と総務関連業務について軽く触れたが、曲がりなりにも15年間税理士に頼ることなく、全て自分で行ってきた小規模会社の決算について、もう少し詳しく触れたいと思う。

試算表の作成

当社のように、SOHOで行っている法人の決算書は、連結決算や公認会計士による監査報告書は必要ない。

なので、基本書類は

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • 株式資本等変動計算書
  • それに伴う注記表

といった、シンプルな構成だ。

税務署に確定申告する場合は、これらの決算書類に別表類、勘定科目内訳書、法人事業概況説明書などを添付して提出する。

大した枚数でもないから、作業も大したことないと思われがちだが、このたった数枚の書類作成に実は多くの労力を必要とする。

決算書は、いわば「会社の成績表」だ。決算書を見れば、会社の状態がわかる。

決算書を作成する上で、おおもととなるのは試算表。そして、試算表を作成するには勘定元帳から、さらに勘定元帳には伝票から作成される。

最初は、決算書作成に必須のこの試算表作成までを、流れに沿って説明しよう。

毎日の伝票記入と勘定元帳

日々怠ることなく、入金・出金をすべて伝票に記入することから、経理は始まる。

当社では、基本的にお客様からの入金は全て振込み、支払いもほぼ振込だ。そのため、二度手間となる入金伝票・出金伝票は使用せず、振替伝票だけで済ませている。

例えば、「〇月〇日 △△さんから旅行代金の入金(□□銀行口座に振り込み」の場合、貸方・借方両方に同じ金額を記入し、

  • 貸方の科目は「売上」
  • 借方の科目は「□□口座」

のように記入する。適用欄には、「△△さん 旅行代金」と書いておく。現金入金の場合は、「□□口座」が「現金」に替わる。

支払いの場合は、左右逆になる。借方に「仕入」等と記入し、貸方に振込をした口座名の勘定科目を記入する。

時々面倒になって伝票記入を怠ることもあるが、当社では現金の出入がほとんどないので、通帳を見れば、2~3日くらいは遡って伝票を書くことが出来る。

帳簿を記入するには、あらかじめ社内で勘定科目を決めておかなくてはならない。

決めておくとは言っても、簿記で出てくる勘定科目名がほとんどだ。それを日々入出金する際、どれに当てはまるかを確認しながら書いていくだけだ。

簿記など勉強したことはないが、サラリーマン時代に経理の仕事を手伝ったことがあり、簡単な伝票記入くらいは行っていた。そのおかげで、なんとなく貸方、借方の意味くらいは理解していたつもりだ。それならば、ということで、簡単な簿記の本で、基礎の基礎を独学で覚えた。

当社ではペーパーレスのため、振替伝票は全てエクセルに入力し保存している。

ネット上には、エクセルの無料テンプレートが溢れ返っているので、ダウンロードし放題だ。ちなみにMicrosoft Excelを開いて「オンラインテンプレートの検索」で検索してみたら、振替伝票、勘定元帳ともにテンプレート集にあった。

勘定元帳から試算表作成

振替伝票に入力した内容は、勘定科目ごとに勘定元帳に書き写しておく。

勘定元帳とは、全ての取引を勘定科目ごとに記載しておく帳簿のこと。個々の勘定科目ごとに一覧表を作成し、それを全てまとめたものが「総勘定元帳」だ。

これに対し、全ての取引を日付順に記載しておくものを、「仕訳帳」という。当社では、仕訳帳は採用していない。

そして、勘定元帳に記入してきたことを転記し、月ごと・年ごとにまとめたものが「試算表」だ。

ちなみに、試算表はMicrosoftのテンプレート集にはなかったので、ネットで検索して欲しい。

試算表の貸方、借方の合計金額も、振替伝票同様一致していなくてはならない。もし、一致していない場合は、勘定元帳の記載漏れや記載ミス、さらには振替伝票の記入ミスがあるということ。

これで、日々の帳簿記入が、どこで間違っていたかがわかる。

試算表を12カ月作成すると、合計試算表及び合計残高試算表が出来あがる。

決算書の作成

精算書は決算書の下書

合計試算表だけでは、まだ決算書に書き移すことは出来ない。これをもとに、決算書の下書きのような「精算書」を作成する。

精算書とは、残高試算表に決算整理を加え、貸借対照表と損益計算書を作るためのもの。これも特別なソフトは不要、エクセルで充分だ。

当社が使用している精算書は、左から

  • 合計試算表
  • 調整するための整理記入
  • 損益計算書
  • 貸借対照表

が、それぞれ貸方、借方の項目ごとに一覧になった表だ。エクセルシートいっぱいいっぱい使った一覧表となる。

損益計算書欄には、後述の減価償却費や当期損益などを、常に貸方・借方の金額が一致していることを確認しながら、計算・調整して記入していく。

最終的に、損益計算書と貸借対照表の、貸方・借方合計が一致していれば、精算書の出来上がりだ。

そして、精算書のうちの、貸借対照表・損益計算書が決算書の一部となる。

決算書

試算表・精算書までできていれば、決算書はほぼ出来上がったようなものだ。決算書のフォーマットも、ネット上でテンプレートが選ぶほどあるので、検索して欲しい。

精算書から、損益計算書と貸借対照表を決算書のフォーマットに合わせて書き写す。これで三部構成の決算書のうち、2部は出来上がりだ。

最後に、株式資本等変動計算書を記入する。

これは、資本金と当期損益により、期末の資本金がどれだけになったか、その変動を記載するものだ(名前そのまま)。

その年が赤字なら資本金から損金が生じ、期末の資本金額はそれだけ目減りする。逆に黒字なら期末の資本金額が増加する。

最後に、貸借対照表、損益計算書、株式資本等変動計算書についての注記表を添付すれば、決算書が出来上がる。

注記表とは、会社を経営する上で従う必要のある会社法と会社計算規則により、作成を義務付けられている書類のこと。

一言で言えば、決算書がどの法律に基づくものかを記載した書類といえるだろう。これは、会計年度でほぼ変わらないので、毎年同じ書類だ。

決算書をもとに確定申告

税務署に法人税の確定申告をする際、決算書をもとに様々な書類を追加しなくてはならない。それは

・確定申告書(別表1)
・その他別表類(別表2以降)
・勘定科目内訳書
・法人事業概況説明書

などだ。

決算期が近づくと、税務署からこれらの申請書類一式が届く。

国税庁のホームページからも各書類のダウンロードが出来るので、届く前に計算しておくことが出来る。ただし、ダウンロードできるのはPDFファイルのみで、自分で計算して手書きで記入していかなくてはならない。万が一、税務署から届いた書類を書き損じた時のバックアップみたいなものだ。

既に決算書が出来上がっているので、確定申告書類は8割方終わったようなものだが、実はこれらの書類作成が結構面倒だ。

決算書類に多少目を通した人ならお分かりかと思うが、決算書と確定申告書上の損益額は違う。

申告書に沿って書類を作成し、最終的に法人税額を決定するため、損益額から法人税額を引いたものが当期の純損益となるからだ。内容によって、課税されるもの、減税されるものもある。

そして、法人税額を算出するために使用するのが各別表だ。

以下当社のような小規模会社にとって必要な別表類について説明する。

最も大事なのは、別表4「所得の金額の計算に関する明細書」で、この書類の一番下「所得金額または欠損金額」に記載される金額が、確定申告書や地方法人税・事業税の申告に関わってくる。

当社は青色申告の届け出をしているので、利益が出ていても、過去7年にさかのぼって欠損金がある場合は、当期控除額に充当することが出来る。

つまり、過去の欠損金がある場合、当期利益分から過去の欠損控除額を差し引けば、実質法人税はゼロになる。この明細を記入するのが、別表7(1)「欠損金又は災害損失金の損金参入等に関する明細書」だ。

機械装置(パソコンなど)の減価償却について記載するのは別表16だが、これは定率法と定額法があり、それによって書類が若干変わる。

一般的に、企業の減価償却は定率法を適用するということを最初に教わったので、それ以来当社では、機械装置の減価償却を定率法によって算出している。

さらに、その購入日により、旧定率法と新定率法がある。

現在、当社ではその明細を別表16(2)「旧定率法または定率法による減価償却資産の償却額に関する明細書」に記入している。

試算表及び清算書を作成する際、先に減価償却費を算出しておかなくてはならないので、国税庁のホームページからこの別表だけダウンロードして手書きで算出する。

その他、いつも提出するのは、

  • 別表2「同族会社等の判定に関する明細書」
  • 別表5(1)「利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書」
  • 別表5(2)「租税公課の納付状況状況に関する明細書」

など。会社状況によってはさらに必要な別表があると思うが、当社では今のところこれだけで事足りている。

決算書の補足書類として、勘定科目内訳書を用意する。主なものは以下の通りであり、通常経理事務を行っていれば書くことが出来るものだ。

  • 預貯金等内訳書
  • 仮受金の内訳書
  • 役員報酬内訳書
  • 地代家賃等内訳書

尚、これらの書類には、さらに必要な添付書類(銀行の残高証明書など)を用意する。

最後に、「法人事業概況説明書」。

この書類は、確定申告に直接関係するものではないが、税務署が企業の状況を把握するための書類だ。確定申告書類と一緒に綴じ込んで提出してはならず、いつも別に提出する。

電子化へ向けて

開業最初は、これらすべてを手書きで行っていた。

しかし、ネットで検索して辿り着いた、フリーウェイ・ジャパンが提供する「フリーウェイ税務」が、とても便利で助かっている。決算関連に関わる人は、一度サイトを訪れたほうがよさそうだ。

このサイトに登録してログインすると、ウェブ上で決算書に基づく確定申告書類を作成・保存することが出来る。

金額は自動計算、さらに前年度のデータを引き継いで算出するので、とても便利だ。その他、勘定科目内訳書、法人事業概況説明書も作成できる。上述の減価償却費算出の際、まず最初にこのサイトで計算して別表16(2)を作成しておくことができる。

独学でやってきた決算及び確定申告だが、自動計算と書類作成が手軽にできるこのサイトには大変助かっている。

小規模企業なら無料で利用できるので、個人事業主や、当社のようなSOHOの会社経営をしている人は、一度検討してみる価値があると思う。

その他「フリーウェイ経理」、「フリーウェイ給与計算」など、様々な製品を用意している。やたらお高い税務会計ソフトより、ずっと便利かもしれない。

【追記 – 2021年3月】

「フリーウェイ税務」は、2020年5月をもって新規登録を終了し、既登録者向けサービスも2021年5月20日をもって終了する。
そのため当社では、Linuxで活用できるオープンソースの会計ソフト「GnuCash」で会計管理することにした。

余計な経費をかけることなく、会社を運営していかなければならないSOHOでは、自分でできることは自分で行い、無料で使用できるものは精査の上使用し、やたら紙でプリントすることなく業務をこなすことが必要になってくる。

15年の間、毎年決算と確定申告を行ってきて、経理や簿記のことをほとんど知らなかった自分が、ここに書いたことは一通り出来るようになった。

今回は、旅行業からは少し離れて、会社運営に関する記事となったが、少しでも、同じようなことで奮闘している人達の参考になってくれればと思う。

【筆者がSOHOで運営する会社紹介】

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