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WordPressは、単なるブログ作成のアプリケーションと思われがちだが、実は違う。前回触れた通り、国内外の主な企業のコーポレートサイトも、WordPressで制作されたものは数多い。
WordPressは、企業やお店の本格的なウェブサイトを制作することができるツールだ。
今回は、WordPressの初期設定やテーマのインストールについて案内していこう。
WordPressの初期設定
独自ドメイン、レンタルサーバーを決めたら、さっそくWordPressをインストールしてみよう。
前回書いた通り、主なレンタルサーバーでは「WordPress簡単インストール」というツールを用意していて、早い人ならサーバー契約後10〜30分で、WordPressをインストールさせることもできるだろう。それくらい、インストールは簡単だ。
ここでは、筆者が利用しているGMOペパボのロリポップのWordPress簡単インストールのマニュアルを案内しておくので、インストール手順は割愛する。
インストール完了後、ログイン画面でインストール時に決めておいたユーザー名・パスワードを入力してログインする。ログイン後のダッシュボード(管理画面)は以下画像の通り。
テーマ(サイト全体のデザインを決めるテンプレート)を決める前に、最低限必要な初期設定をしておこう。
SEOにとって重要なパーマリンク設定
パーマリンクとは、各記事のURLのうち、ドメイン名を除いた部分のこと。例えば、この記事のURLは
「https://www.ura-no-ura.com/2023/05/creating-website-by-wordpress-2.html」
となっている。このうち、「https://www.ura-no-ura.com」までがドメイン名、その後は記事の執筆年/月と続き、パーマリンクは最後の「creating-website-by-wordpress-2.html」にあたる。
パーマリンクは、SEO対策において重要である。記事のタイトルにあった、意味のある単語によるパーマリンクを決めることによって、検索エンジンに評価されるからだ。
パーマリンクの設定は、ダッシュボードの「設定」→「パーマリンク」画面で設定できる。
画面上には、パーマリンク構造として6例表示されている。上から4例は、ブログなどでよく見られるパーマリンク構造だ。
企業のウェブサイトでは、最後の「カスタム構造」を選択し、ドメイン以降は下に表示されているタグから「/%postname%/」をクリックして保存しよう。
カテゴリーを明確に決めることができるなら、「/%category%/%postname%/」の方が、グローバルナビゲーションやパンくずリストに沿ったURLにすることができ、よりよいSEO対策になる。
このように設定しておけば、あとは記事を投稿する際の投稿画面で、個別にパーマリンクを書いていけば良い。
試しに「投稿」→「投稿一覧」にて、デフォルトで用意されている記事「Hello World!」を、編集にて開けてみる。
右側のURLをクリックすると、下画像のように表示される。パーマリンクと書かれた下のボックス内がこの記事のパーマリンクとなるので、記事ごとにここに個別のパーマリンクを設定の上記載しておく。
なお、個別記事のパーマリンクは、一度下書き保存した後でないと変更できない。
その他必要な初期設定
パーマリンクの設定以外に、必要な設定がいくつかある。
サイトのタイトルと管理者メールアドレス
まずは、「設定」→「一般」画面。
ここでは、サイトのタイトル、管理者メールアドレスを決めておこう。サイトのタイトルは、ウェブマーケティングにおいて、とても重要である。ターゲットに合ったキーワードを含めたタイトルが望ましい。
管理者メールアドレスは、WordPressから必要な連絡が来るので、必ず設定しておく。
それ以外は、特に設定するところはない。
ホームページの表示
次に、「設定」→「表示設定」画面。
ここでは、ホームページ(トップページ)の表示で「固定ページ」を選択する。
「最新の投稿」をトップページに据えると、このブログのトップページのように、文字通り「ブログ」になってしまう。企業サイトやお店のホームページなら、固定ページで企業の「顔」ともいうべきトップページを制作して据えよう。
固定ページでのトップページづくりは、後ほど。
ダッシュボードでの初期設定で必要なものは、以上の通り。大事なのは、パーマリンクとサイトのタイトル、そしてトップページを固定ページで制作することだけ。その他は、ウェブサイトを制作していく上で、必要があれば適宜修正していけば良い。
企業や店舗のウェブサイトに合ったテーマ
WordPressのテーマは、無料のものから有料のものまで、実に多くのテーマがある。その中から、自分の会社や店舗にあったテーマを見つけるのは、とても難しい。
しかし、ウェブサイト本来の目的である、アクセスアップや集客・購買力を高めるためのSEO対策が施されたテーマを中心に選んでいけば、おのずと自社にあったテーマが見つかる。いくつか絞ったら、そこからさらに、デザイン性の良いものを選べばいい。
また、「有料だから優れている」、「無料だから優れていない」は、WordPressのテーマには当てはまらない。無料のものでも、SEO対策に特化した、かなり優れたテーマはたくさんある。
テーマは、WordPressで簡単に変えることができるので、最初は企業や店舗サイトに特化した無料テーマで制作し、後々有料のもので自社にあったテーマがあったら、変えてみるのも良いかもしれない。
注意すべきは、そのテーマが商用利用可能かどうかをチェックすること。
ここでは、企業や店舗サイトに特化した無料テーマをいくつか紹介しよう。
無料とは思えない機能性やデザイン性に優れた「Cocoon」

おそらく、無料のテーマで最も利用されているのではないかと思えるくらいの「Cocoon」。
SEO・ウェブ高速化・モバイルフレンドリーに最適化された無料テーマだ。
このブログも、実は「Cocoon」を利用している。だからといって、ブログ向けだけではない。企業や店舗のウェブサイトでも、十分対応できるテーマである。
2022年9月、レンタルサーバーのエックスサーバーと業務提携したので、サーバーとウェブサイトを一体化して管理しやすいという点も魅力だろう。
美しいビジネスサイトを構築できる「BusinessPress」
トップページを見ただけで、無駄のないシンプルで美しいテーマということがわかる「BusinessPress」。
特に、タイポグラフィー(文字組み)の美しさにフォーカスされたテーマで、カスタマイズ性も高い。
トップページにある「カスタマイズデモ」をクリックすると、インストールをしなくてもWordPressのカスタマイズ画面のように、カスタマイズした内容を見ることができる。
コンテンツマーケティングのプロ「バズ部」が制作した「Xeory Extension」

タイトル通り、コンテンツマーケティングのプロ「バズ部」が制作した「Xeory Extension」は、まさにコーポレートサイト・テーマの代表格だろう。サイトにて案内する内容はもちろんだが、集客のためのノウハウが詰まった、素晴らしいテーマだ。
極端ではあるが、SEO対策は丸ごとこのテーマに任せて、ページ作りだけに専念することができる。
無料プラスアルファで様々な機能を追加できる「Lightning」

このテーマは、基本は無料テーマだが、用途・目的によって有料で機能を追加できる点が他とは違う。もちろん、基本の無料テーマでも十分シンプルで美しいウェブサイトを制作することができる。
追加機能には、
- 工務店・建築
- 法律事務所
- 学習塾
- 訪問看護サービス
- 採用情報
など、店舗や企業形態に沿った追加機能がある点が面白い。
飲食店向け無料テーマ「Inoma Restaurant Basic」
文字通り、飲食店向けのテーマ「Inoma Restaurant Basic」。お店のコンセプト、メニュー、アクセスなど、飲食店に必要な機能を搭載したテーマだ。
メニューの差し替えにすぐに対応できるよう、画像や文章の入れ替えがしやすくなっている。
スマホ・タブレットに対応したレスポンシブテーマ「レスポンシブWordPressテーマNo.078」
パソコンは見ないスマホ世代がアクセスしやすい、パン屋・カフェ・レストランなど飲食店向けのテーマ。
画像中心のサイト作りで、スマホやタブレットでアクセスしやすい画面作りになっている。もちろん、パソコンで閲覧する際も最適化される。
テーマをWordPressにインストール
自社サイトのイメージにぴったりのテーマが見つかったら、さっそくWordPressにインストールしてみよう。
余談だが、筆者はSOHOで旅行会社を運営しており、HTMLとCSSを駆使しながら自力で自社ウェブサイトを制作してきた。そのウェブサイトをもとに、オフラインでWordPressを制作できるアプリケーション・Localを使って、ローカル環境で別の自社テストサイトを作りながら説明する。
今回は、このブログで使用している「Cocoon」ではなく、あえて違う「BusinessPress」をインストールしてみることにした。
⒈ 「BusinessPress」のサイトから、ダウンロードボタンをクリックして、パソコン内にzip形式のテーマファイル(businesspress.zip)をダウンロードする。
⒉ WordPressダッシュボードメニューより、「外観」→「テーマ」を選択。
すでにWordPressデフォルトのテーマが3つ用意されているが、これは使用しない。
⒊ テーマ画面左上の「新規追加」をクリック。
⒋ 「テーマを追加」画面で「テーマのアップロード」をクリック。
⒌ 「選択」ボタンをクリックし、先ほどパソコン内に保存したbusinesspress.zipを選択。
⒍ 「インストールが完了しました」と出たら、「有効化」をクリック。
⒎ WordPressデフォルトのテーマとともに、新たに「BusinessPress」が追加された。
固定ページでトップページを作成しよう
無事にテーマをインストールできたら、トップページを設定しよう。トップページは、固定ページで作成する。
固定ページとは、プロフィールや問い合わせフォーム、プライバシーポリシーなど、単体ページを作成するときに利用する機能。動的なページが中心の投稿記事とは別に、固定ページは独立して機能する。そのため、メニューやサイトマップなどには、自身で追加しておかなければならない。
⒈ メニューから「固定ページ」→「新規追加」を選択。
⒉ 記事編集画面と同じような構成のページが開くので、タイトルを仮で「Top Page」と入れる。それ以外は特に入力しなくてもOK。
⒊ タイトル入力後、右の「公開」をクリック。
⒋ メニューから「設定」→「表示設定」を選択。
⒌ 「ホームページの表示」にて、固定ページのラジオボタンを選択し、プルダウンから先ほど作成した「Top Page」を選択して「変更を保存」をクリック。
これで、固定ページで作成した「Top Page」が、文字通りウェブサイトのトップページになった。メニュー上のホームアイコンをオンマウスすると、「サイトを表示」と出るので、クリックしてみよう。
まだ何も設定されていないが、「BusinessPress」のテーマに沿った「Top Page」が表示される。
まとめ
ブログ形式に特化したテーマでは、企業や店舗のウェブサイトは、届けたい情報をユーザーに届けることができない。
自社のヴィジョンにあったテーマを選択したら、トップページを固定ページで作成して据え置こう。
ここでは、WordPressの初期設定から、テーマの選択とインストール、固定ページでのトップページ作成をご案内してきた。
次回は、テーマに沿ったカスタマイズについて案内していこう。
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