4小節でフラメンコギターのラスゲアード奏法パターンをマスターしよう

フラメンコギター イメージ

フラメンコギターの奏法といえば、ラスゲアード。情熱的にギターをかき鳴らすこの奏法は、バイレ(踊り)のリズムを刻む大事な奏法だ。

テンポがはやく、難しそうに見えるラスゲアードだが、ギターを弾いたことがある人なら、コツを掴むのも早いかもしれない。

今回は、ラスゲアードの基本パターンを、4小節の楽譜とMP3で紹介する。

本場スペインのフラメンコギター・レッスン本から紹介

筆者は、クラシックギターとフラメンコギターを同時に教える先生に、15年間師事した。しかし、ある時ある事情で教室を辞め、それから6年のブランクを経て、先月からまたギターを弾き出した。

6年のブランクは、思いのほか長かった。頭では分かっていても、最初はまるっきり初心者のごとくしか弾くことができなかった。再開して1ヶ月、ようやく昔の楽譜を、少しずつ弾けるようになってきた。

フラメンコギターも、一からやり直しだ。

フラメンコの感覚を戻すため、あるレッスン本に沿って練習を再開した。スペインへギター留学の経験がある先生が、現地でコピーしたものらしく、数多くの楽譜とともに持ち帰った本のコピーを、筆者が再度コピーさせてもらったもの。それが、

「Flamenco Guitar Edited by T.Koizumi」だ。

全27ページには、当ブログ内「フラメンコギターの基礎」で、すでに紹介したフラメンコの歴史から始まり、基礎となるラスゲアード、ゴルぺ、トレモロ奏法解説から、各フラメンコのパターンとなる、短い楽譜が掲載されている。編集者名を見るに、おそらく日本人だと思うが、現地で発行されたものなのか、全編英語で書かれている。

かなり古い書籍らしく、この本のタイトルと編集者名を、ネットでいくら検索しても出てこない。おそらく絶版で、著作権も切れていることだろう。

そのままブログに掲載するのは気が引けるが、各譜面ごとに簡単な解説をつけて紹介すれば、きっとフラメンコを始めたい人の役に立つだろうと思い、掲載することにした。

譜面は、オープンソフトのMuseScoreで書き写し、MP3に変換した。本物のギターを弾いている音源とは違うが、感じは掴めると思う。

また、筆者は一切TAB譜を使わずに教わってきたので、ここで紹介する楽譜もTAB譜はない。

ラスゲアードの基本パターンを楽譜とMP3で紹介

楽譜には、ラスゲアードのストロークをする右手の各指を示すアルファベットが書かれてあり、それぞれ以下の通り。

  • 「p」:親指
  • 「i」:人差し指
  • 「m」:中指
  • 「a」:薬指
  • 「ch」:小指

また、矢印は

  • 「↑」:ダウンストローク(6弦:低音弦から1弦:高音弦へ弾きおろす)
  • 「↓」:アップストローク(1弦:高音弦から6弦:低音弦へ弾きあげる)

を示している。

MP3音源では、ダウンストロークとアップストロークは判断できないので、楽譜で覚えて欲しい。

ラスゲアード・デ・インディセ(Rasgueado de Indice)

Rasgueados 1

【パターン1】

人差し指(i:Indice)一本で、アップ&ダウンストロークを繰り返す、最も簡単かつ基本のラスゲアードを、ラスゲアード・デ・インディセ(Rasgueado de Indice)という。

これなら、コードさえ押さえてしまえば、人差し指を上下にストロークするだけだから、初心者でもなんとなくできそうだ。

パターン1は、Amのコードのまま、人差し指でアップ&ダウンを繰り返す。

フラメンコは12拍子といわれ、4小節でひとパターンだ。1〜2小節目は3拍目にアクセントがあり、3小節目は2拍目、4小節目は1拍目にアクセントがある。MP3ファイルで確認してみると、それがわかる。

セコ(セーコ、Seco)

パターン2

【パターン2】

次は、「セコ(Seco)」と呼ばれる、複数本の指で行うストローク。

通常は、人差し指と中指2本を使うが、中指と薬指、あるいは人差し指・中指・薬指の3本を使用する場合もある。

楽譜に注釈がある通り、アップストロークは親指を使用することもある。

グラネアード(Graneado)

上記以外のラスゲアード全般のこと。

軽く握った右手を、小指から人差し指まで、流れるように順番に開いてダウンストロークしていくものだ。

パターン3

【パターン3】

パターン3は、まさに小指から人差し指までのダウンストロークのラスゲアードを、各小節の1拍目に用いている。

パターン4

【パターン4】

パターン5

【パターン5】

パターン4、5は、それを少し応用したもの。

パターン6

【パターン6】

パターン6は、小指から人差し指までダウンストロークしたすぐ後に、人差し指のアップストロークを入れた5連符。

パターン7

【パターン7】

パターン7は、その5連符の連続だ。

アバニコ(Abanico)

ここから、よりフラメンコらしくなる。

アップストロークに親指を使用することで、右手全体を扇子(スペイン語で「アバニコ」という)のように、上下にヒラヒラさせながらストロークすることを「アバニコ(Abanico)」という。

パターン8

【パターン8】

パターン9

【パターン9】

その意味では、パターン8は純粋なアバニコではないが、パターン9はアバニコの代表例だ。

4連符最後の人差し指によるダウンストロークは、親指のダウンストロークで代用することもある。その後の親指によるアップストロークに、すぐ入ることができるからだ。

ドブレ(Doble)

ラスゲアードが連続したものを、「ドブレ(Doble)」という。

ドブレは、一つ一つのラスゲアードを切れ目なく連続させることがコツ。そのためには、親指でのアップストロークが欠かせない。

パターン10

【パターン10】

パターン10の3〜4小節目は、まさにドブレだ。

パターン11

【パターン11】

パターン11は、ラスゲアードの花形中の花形、アバニコの連続3連符だ。

「p↓ –> am↑ –> p↑ –> p↓」を連続して行う。

二本指は、人差し指と中指でも良く、むしろこちらで弾いている人の方が多いかもしれない。

3連符のアバニコは、複数の弾き方がある。

楽譜に示されたパターンは、従来からのアバニコ。音響施設が整っていなかった昔、踊り手や歌い手にはっきりとリズムを伝えるよう、ギターで大音量を奏でることが必要だった。そのため、力を入れやすい親指と二本指のストロークになった。

しかし、サビーカスやパコ・デ・ルシアの登場により、コンサート・フラメンコが主流になってくると、ただかき鳴らすだけではなく、一つ一つの音符をはっきりと聞かせることが必要になってきた。

その場合のアバニコは、

「p↓ –> a↑ –> i↑ –> p↓」

となる。ちなみに、筆者は後者のコンサート・フラメンコ向けアバニコで教わった。

ソレアレス(Soleares)

最後に、最もポピュラーなフラメンコの曲種の一つ、ソレアレス(Soleares)を紹介しておく。楽譜(pdf)とMP3は以下の通り。

Soleares(pdf)

「Flamenco Guitar Edited by T.Koizumi」には、ソレアレスのことを、以下の通り説明されている。

他の多くのフラメンコの曲の基礎となる、重要な曲。ソレアレスの語源は、孤独を意味する「Soledad」であるとされている。物悲しい短調だが、同時に大きな情熱を表現している。

ギターソロの場合はEナチュラルで演奏されることが多いが、ヴォーカルを伴う場合はAナチュラルで演奏されることが多い。

基本的には3/4拍子だが、12拍子のセクションで構成されている。

なお、ソレアレスは「ソレア」の複数形で、アンダルシアのヒターノ(ジブシー)たちは、単にソレアという。

そもそも、フラメンコはヒターノ、ひいてはスペインの生活に根付いた民族音楽だ。各地方ごとに様々なフラメンコがあり、またそれは冠婚葬祭や祭りの時に演奏されるもの。

例えば、シギリーヤという曲種は、もともと葬式の時に演奏されたもので、なんとも不思議な旋律である。

ヒターノとスペインの歴史と、フラメンコは切っても切り離すことはできない。

このことをよく知るには、以下書籍に大変詳しく書かれている。単にフラメンコの歴史だけではなく、様々な曲種の解説から、著名なギタリストの紹介まで、フラメンコのことならなんでも書いてある。

筆者は、ギターを習い始めた頃、先生にこの本を紹介されて購入した。

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