
そのこの名前は「さくら」
食べることが生きがいの女の子
のネコ
生まれて2ヶ月で兄弟がみんな死んでしまい、ひとり残ったさくらは生きることに一生懸命
悲しんでいる暇はない
- V -
そんなさくらには、苦手なものがたくさんある最も苦手なものは・・・
お風呂
なんでも不器用で、毛繕いさえ上手にできないから、気がつくと白い毛がうっすら茶色くなっている
だからお風呂に入れてあげるのだが、そのときはひと騒動だ
普段はまんまるなのに、お湯で濡らすと全身の毛がピタッっとして、とても情けない姿になる
その間、「助けてください」と言わんばかりに鳴き続ける
その声を聞くと可哀想なんだけど、なんだか笑ってしまう・・・
そして湯上り後のドライヤーも苦手
逃げられないように洗面所のドアを閉めて、二人がかりでドライヤーで全身を乾かしてあげる
風呂場ではぬれ細った情けない姿が、ふわっふわのまん丸に戻る
これで終わり、と洗面所のドアを開けると、一目散に逃げていく
そしてひとっところに落ち着くと、おっさんのようなため息をつく
それがさくら
- VI -
かかりつけの先生も苦手先生は、さくらが生まれた時から見てくれていて、何度も先生宅にお泊まり(入院)しているからか、まるで我が子のように見てくれている
親の贔屓目もあるかもしれないが、明らかに他の子達への接し方とは違う気がする
しかし、当の本人はその真逆だ
いつも先生のところへ行く時は、ゲージではなく、散歩用の紐をつけただけで抱っこして出かける
だが、気配をいち早く察知し、その紐の音がするだけで何処かへ隠れてしまう
運わるくつかまってしまい、抱っこされると、ようやく観念する
そんなさくらを、先生は仏のような、孫を見るおじいちゃんのような笑顔で迎えてくれる
その対照な態度がおかしい
- VII -
空腹も苦手、というか耐えられないお腹が空くと、まだ仕事をしている僕の後ろで、まるでこの世の終わりかと思うくらいに鳴いたかと思えば、懇願するような声に変えて鳴いてみたり・・・
大した役者だ
生まれてすぐに大病をしたせいか、大人になっても小さなままのさくらは、その分食べることにとても執着があるのかもしれない
自分のご飯だけでなく、僕らの食べるものにも興味津々だ
特に麺類
箸で持ち上げた麺を、この時だけ、器用に自分の手を使って奪っては口に運ぶ
それ以外も、僕らが食べているものはどこか特別と思っているのだろう
ちっちゃいくせに、テーブルに飛び乗っては、奪う隙を狙っている
でも、他の子がすぐに死んでしまったせいか、どうもこの子には甘く接してしまう
- VIII -
苦手なものが多いさくらには、大好きなものがあるそれは・・・
僕だ
さくらは、僕の左手と左肩にちょうど収まるように抱っこされるのが好き
そのとき、
僕の首に両手を回し、あとは全身を委ねてくる
僕の心臓の音に安心するのかもしれない
また、あるときから、夜は必ず僕の枕元で寝るようになった
鼻先をこちらに向けて、またもやおっさんのようないびきをかきながら眠る
時々、無意識に鼻水を飛ばす
まるでちっちゃなおっさんと寝ているよう
それがさくら
こんにちは。リリーと申します。
返信削除桜ちゃん、かわいいですね。
ランキングから来ました。