
そのこの名前は「さくら」
たまたま桜の季節に生まれたのだけれど、その桜ではない
さくらはお釈迦様の誕生日(花まつり)に、6つ子で生まれたうちの・・・
一番情けなさそうな顔をした女の子のネコ
お世辞にも可愛らしいとは言えない
なのに一番気になる子
そういえば鼻にブチがあって、見ようによっては桜の花びらのようにも見える
それがさくら
- I -
「さくら」という名前の子は多いけれど、多分他の子たちとは違う理由6匹も生まれたのでつける名前に困り、本当にたまたまだけれど、映画の「寅さん」からとった
最初に出てきたのが「お兄ちゃん」、次が「さくら」
あとの子は・・・
だから、さくら
- II -
生まれたときから、さくらはできの悪い子だった他の子たちはすぐによちよち歩き出したのに、お腹がポンポコリンのさくらだけ、いつまでもそのお腹が床にずってしまう
フォルムがとにかく丸いから
予防注射をしてもらうため、親猫からずっとかかりつけの先生を訪ねたときにこのことを話すと、「他の子と比べてはいけません、その子はその子です」と言われた
他の子たちよりも体が弱く、成長は遅いけど、比べちゃいけない
一番風邪をひきやすかったのも、一番先生のところにお泊まり(入院)したのもさくら
だから先生も特別な思い入れがあったよう
それがさくら
- III -
6匹も仔猫がいると、毎日がとても楽しかった生まれたては手のひらに乗っかるくらいちっちゃく、まるでエクレアのよう
それが、歩くようになると、どこへ行くかわからない
ちっちゃいから、どこにでも入り込んでしまう
ソファの陰にいてもわからずに踏みつけそうになったり、キッチンの冷蔵庫の裏側に入ってしまって、数が足りず家中を探し回ったり・・・
だけど、それは長く続かなかった
2ヶ月もしないうちに、先生にも原因がわからない病気で、ひと月の間に次々と死んでしまった
夏が近づいて暑くなってきたから、近所でドライアイスを買ってきて、
ペットの葬儀をしてくれるお寺を探し、動かなくなった子たちをドライアイスで包んで運んでは、何度もお経をあげてもらった
悲しかった・・・というより、大変だった
次から次へと、あっという間だったから
だけど、なぜか一番体が弱いさくらだけが、この病気に負けずに残ってくれた
運命だったのかもしれない
きっと他の子たちが、さくらだけでも、と残してくれたのだと・・・
それがさくら
- IV -
兄弟がいなくなったさくらは、しばらく状況が掴めていないようだった一緒に遊んでくれる子たちがいない・・・
それでも、相変わらずお腹は床にずってしまうし、ご飯はうまく食べることができない
ミルクは鼻から吸い込んでしまって、ぶしゅぶしゅしてばかり
ほんとになんて要領の悪い子なんだろう・・・
でも、食い意地だけは張っている
例え口の側からご飯がこぼれても、ミルクに鼻から突っ込んでしまっても、病気をしても、食べることを諦めない
多分、これがさくらだけ残った理由
生きることに一生懸命なさくら
こんにちは
返信削除ランキングから来ました
一生懸命で健気なのが伝わります
こんにちは
削除コメント有難うございます
これからもこのこのことを書いていきます