SOHOによる旅行会社の作り方18 - ポータルサイトからの教訓

ポータルサイトイメージ
どの業界にも、その業種に特化したポータルサイトがある。旅行業のポータルサイトで知られているのは「トラベルコ」や「楽天トラベル」などだ。小さな会社を立ち上げた時、その業界のポータルサイトに自社サイトを登録して少しでも認知してもらおうという気持ちは当然誰にでもある。だが、ポータルサイトの正しい利用方法を知らないまま登録すると、けっこう大変な目にあうので要注意だ。
筆者が旅行ポータルサイトを利用した体験をもとに、小さな会社がポータルサイトとどう付き合うかをまとめてみる。

見積もり回答費用は1件80円

SOHOによる旅行会社の作り方3 - 開業」でも書いたことを少し復習しよう。
開業したての時は顧客というものがない。だからひいきにしてもらえる顧客を少しでも増やすためにどんな方法があるかを考えた時、業界紙「トラベルジャーナル」の発行会社から派生した会社が新たな旅行ポータルサイトを立ち上げたことを知った。このサイト「イー・旅ネット・ドット・コム」はBtoB、BtoCを結ぶ、今でいうマッチングサイトのようなもので、こだわりの旅を求めている消費者がウェブ上で旅行見積もりを入れ、それに対して登録した複数の旅行会社が見積もりに回答する。消費者は複数の見積もりを見比べ、自分の希望に合った旅行会社と契約するというシステムだった。消費者側の見積もり依頼は無料、旅行会社側も登録時は無料だが、見積もりを1件回答するごとに80円の費用がかかる。封書の郵便代が80円だったので、それくらいならと思いすぐに登録した。

登録開始からすぐに、毎日毎日入ってくる見積もり依頼に対して回答し続けた。得意なヨーロッパ方面をはじめ、旅行形態もオーダーメイド、パッケージツアーなど様々なタイプで見積もりを回答した。多い時で1か月に300件くらいは見積もりを返しただろうか?それでも1件80円なのだから、1か月のポータルサイト利用料は24,000円だ。

ポータルサイト側もサイト立ち上げ当初から登録した旅行会社として、当社の希望をいろいろ聞いてくれた。例えば、ポータルサイト側でもサイト内に「こだわりの旅」というページを設け、登録旅行会社のイチオシ商品をデジタルパンフレット形式で掲載することが出来るようになった。こちらは5プランまで掲載することが出来て月額1万円だ。少しずつ自社ウェブサイトも充実し始めてきた頃だったが、まだまだ認知されない自社の商品を少しでも知ってもらうため、ここにも登録した。自体の先端を行くポータルサイトとしてTVに取り上げられたときは、その利用旅行会社代表としてその番組のインタビューに答えたりもした。TVに自分が写ったのは、後にも先にもこの時だけだろう。
こうして少しずつだったが、ポータルサイトから顧客を獲得できるようになってきた。

値上げと費用対効果

ポータルサイトと当社とはお互いの良いところを利用して、いい関係が続いたように見えた。しかし突然、ポータルサイト側から利用料金の値上げの知らせが来た。考えてみれば相手も企業、こちらも企業、利益に基づく値上げが絶対にないとは限らない。
しかし見積もり回答費用が1件80円で済んでいたので、回答出来るものは手当たり次第回答し続けてきたものの、新たな料金体系は今までとは全く違った極端な値上げだった。「イー・旅ネット・ドット・コム」は今でもあるポータルサイトなので、その会社について詳細に書くのははばかられるが、新たな利用料金は今までの10倍以上だった。

いままではちょっとした経費として計上するだけで利用できたポータルサイトが、急に旅行の仕入れ額のような料金まで吊り上げられ、当社のような小さな会社は「このままこのポータルサイトを利用すべきかどうか」という判断に迫られた。

しかし、最終的には契約を継続し新たな料金にて利用し続けた。それは、まだ自社サイトだけで集客できる自信がなかったこと、また自社サイトのアクセスはポータルサイトに登録しているから集まっているのだろうと判断したからだった。今では考えられないことだが、そのときはまだSEOの何たるかも知らず、自分たちの作りたいままに自社サイトを作っていたのだ。そして、まだまだ見積もり共同入札には魅力があった。

その2年後、再度値上げがあった。今までは個人・団体旅行の見積もり依頼どちらも回答することが出来たが、今回の値上げでは個人旅行のみの回答という制限つきだった。それでもまだ、入ってくる見積もり依頼の魅力にひかれて利用し続けた。
そして2011年、東日本大震災が起きた。これにより旅行需要は極端に減った。復興も兼ね、普段通りの生活をすべきとあちこちから聞こえてきたが、サービス業はこのような災害には弱い。ポータルサイトに集まる見積り依頼もその時以降だんだんと減ってきたのだった。それは売り上げの減少を意味していた。利用当初1件80円だった利用料金が変貌し、最終的な料金体系はSOHOの会社にとって大きな負担となってきた。

ポータルサイトの利用は最初だけにすべき

顧客がいなかった開業当初から約13年利用し続けた見積もり共同入札のポータルサイトだったが、最終的にその利用をやめることにしたのは以下の理由からによる。
  1. 市場の不況に合わせて旅行の見積もり依頼自体が減ってきたこと
  2. ポータルサイト利用料金が会社の経営を圧迫してきたこと
  3. 自社サイトからの直接利用客が増えてきたこと
このうち1については、ポータルサイトに責任はないだろう。2についても、もし自分がポータルサイト側の経営者だったら考えたに違いない。なので、一方的にポータルサイトを責めるわけにはいかない、低迷した旅行市場によるものだった。
しかし、このブログでも紹介しているように海外テニス観戦や海外乗馬など、一般の旅行会社とは少し違ったものを取り扱っているということもあってか、3番目の自社サイトから直接見積もりの依頼がだんだん増えてきた。そしてウェブサイト作りをしていたら当然考えるSEOというものにやっと気づくことができ、売れるサイトがどういうものか、真剣に考えるようになった。

そうなると、いつまでもポータルサイトにしがみついている意味はなくなる。ここまで気づくのに13年かかったのは遅すぎたかもしれないが、ポータルサイト登録から退会し、開業当初自分達が思い描いた「自分達でできることは自分達で」を貫くこととした。

いまではSNSの普及により、SEOだけではない様々な戦略を立てることが出来る。ポータルサイトは開業当初の、まだ右も左もわからない時にだけ頼る術と考えるほうがよいという考えに至ったのだった。

ウェブサイトにはまだまだ未知なる利用方法がたくさんある。
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