もともと木の香りが好きなこともあり、ギターを始めた時はエレクトリックギターではなくアコースティックギターから始めた。表面に見える丸い穴、それがサウンドホールで、ここからそのギターの持つ様々な木の香りが漂う。
このタイトルで何回か書いている通り、クラシックギターとフラメンコギターを教えるS先生の教室に通って15年、それ以来いろいろなギターを手に弾いてみた。現在自分で所有するギターはクラシックが1本、フラメンコが1本だけだが、いずれも演奏する曲が最大限生かされるよう、ギターのタイプによって材質が選ばれている。
クラシックギターの材質
珍しいものではバイオリンのようにメイプル(カエデ)が使用されたものなど、その木目の美しさを引き立たせる材質のものもある。
上の画像は筆者所有のクラシックギター(Kodaira AST-100)。トップはスプルース単板、サイドとバックはローズウッドが使用されている。高級ギターとなると、同じローズウッドでも今は希少なハカランダ(ブラジリアン・ローズウッド)が使用されている。
この組み合わせは柔らかく丸みのある音を出すことができ、クラシックギターに適している。トップがシダーの場合はより大きな音が出るので、コンサートホールの一番後ろの席まではっきりと音が届くよう、遠達性がある。
指板はマホガニーだ。これも高級ギターだと黒檀など耐久性があるものが使用されるのだが、最初の1本はマホガニーの普及版ギターを購入した。しかし学生の頃に使用していたアコースティックギターから比べるとだいぶ高価で、やはりサウンドホールから漂う木の香りはいくぶん高級な香りがする。
フラメンコギターの材質

上の画像は筆者所有のフラメンコギター、Conde Hermanos EF-4だ。クラシックギターと比べるとだいぶ軽く感じ、ボディも若干薄めに作られている。指板は黒檀を使用している。
クラシックのKodairaは国産だが、Conde Hermanosはフラメンコの本場スペイン生産だ。そのため、サウンドホールから漂う香りも軽い、そして太陽の匂いのような乾いた木の香りがする。
番外・ウクレレの材質
仕事が忙しくなるにつれて生活に余裕がなくなり、少し音楽に浸りたい時があった。そんな時、筆者のパートナーからプレゼントされたのがこのウクレレだ。YAMAHA YUK-100という国産のウクレレだが、懐かしい弦の音とサウンドホールから漂う木の香りに癒された。このウクレレで少しずつアコースティックな音に浸るようになり、そしてウクレレでは物足りなくなったことからクラシックギターを始めるに至った。我が家のギターたちの中で最も年長さんの1本だ。
ウクレレの材質で有名なのはハワイアン・コアというものだ。今はこの木はあまり入手することが出来なくなりつつあるため、ハワイアン・コアのウクレレはだんだん高価になってきているらしい。コアの乾いたサウンドはシープレスを使用したフラメンコギターのように、キレがあり乾いた音が特徴だ。
一方このウクレレのようにオール・マホガニー制作のウクレレは、ハワイアンに限らずジャズ等のソロ演奏に適したまろやかなサウンドになる。トップ、サイド、バックだけでなく、指板、ブリッジなど全てマホガニーを使用しており、ボディ部分は単板だ。マホガニーの持つ温かみがあって深い色のサウンドホールから漂う木の香りは、クラシックギターに近く、それでいて軽い香りがする。
木が持つ癒しの効果
ギター制作は、木を乾燥させることから始まるという。何年も寝かせて丁寧に乾燥させ、それがギターのサウンドを決定する。1本1本に長い年月と、職人たちの手がかかっている。そしてひとたび弾き手に渡り、弾きこまれることによって、また年月が重なりどんどん「枯れて」いくのだ。こうしてギターは「枯れて」いくことにより、そのギターの音が乾いてますますよい音になっていく。これはエレクトリックギターにはない、育てていく楽しみだ。
そういえば、日本人は昔からヒノキやスギ、ヒバなど木の香りに包まれて生活し、それによって癒されていた。
いつでも木の香りに包まれ、その音に癒される。ギターはまさに自分にとってのヒーリングだ。
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