SOHOによる旅行会社の作り方9 - 決算実践編

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当社の決算月は12月なので、2月末日が決算による確定申告期限である。すでに経理と決算について軽く触れたが、曲がりなりにも15年税理士に頼ることなく全て自分で行ってきたSOHOの決算について、もう少し詳しく触れたいと思う。

決算書は試算表から

当社のようなSOHOで行っている法人の決算書は、連結決算や公認会計士による監査報告書は必要ない。なので、基本書類は貸借対照表、損益計算書、株式資本等変動計算書、それに伴う注記表から成り立っている。税務署に確定申告する場合はさらに別表類、勘定科目内訳書、法人事業概況説明書などを添付して提出する。
大した枚数でもないから作業も大したことないと思われがちだが、このたった数枚の書類作成に実は多くの労力を必要とする。それを作成する大元となるのは試算表だ。そして試算表を作成するには勘定元帳から、さらに勘定元帳には伝票から作成される。

決算書作成に必須の試算表作成までを、流れに沿って説明しよう。
まずは毎日の伝票記入から。日々怠ることなく入金、出金をすべて伝票に記入する。基本的にお客様からの入金は全て振込み、支払いもほぼ振込のため入金伝票、出金伝票は使用せず振替伝票だけで済ませている。例えば「〇月〇日 △△さんから旅行代金の入金(□□銀行口座に振り込み」の場合、貸方・借方両方に同じ金額を記入し、貸方の科目は「売上」、借方の科目は「□□口座」のように記入する。現金入金なら「□□口座」は「現金」と書く。支払は逆だ。借方に「仕入」等と記入し、貸方に振込をした口座名の勘定科目を記入する。時々面倒になって伝票記入を怠ることもあるが、当社の場合現金の出入はないので通帳を見れば2~3日くらいは遡って伝票を書くことが出来る。全て厳格に行うことなく、ちょっとしたお気楽さは必要だろう。
帳簿を記入するにはあらかじめ社内で勘定科目を決めておかなくてはならない。決めておくとは言っても簿記で出てくる勘定科目名がほとんどだ。それを日々入金、出金する際どれに当てはまるかを確認しながら書いていくだけだ。
学生時代に簿記など勉強したこともないが、サラリーマン時代に経理の仕事を手伝ったことがあり、その際簡単な伝票記入くらいは行っていた。それでなんとなく貸方、借方の意味くらいは理解していたつもりだ。それならということで、簡単な簿記の本で基礎の基礎を独学で覚えた。
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振替伝票はこんな感じ
当社ではペーパーレスのため、振替伝票は全てエクセルに入力し保存している。ネット上にはエクセルの無料テンプレートが溢れ返っているので、ダウンロードし放題だ。ちなみにMicrosoft Excelを開いて「オンラインテンプレートの検索」で検索してみたら、振替伝票、勘定元帳ともにテンプレート集にあった。

振替伝票に入力したら内容を勘定元帳に移し、そして勘定元帳に記入してきたことを1か月ごとにまとめたものが試算表だ。ちなみに試算表はMicrosoftのテンプレート集にはなかったので、ネットで検索して欲しい。試算表とは全ての勘定科目を1か月にまとめた一覧表だ。試算表の貸方、借方の合計金額は一致していなくてはならない。これが一致していないということは、勘定元帳の記載漏れや記載ミス、さらには振替伝票の記入ミスがあるということで、日々の帳簿記入がどこで間違っていたかがわかる。
これを12カ月作成すると合計試算表が出来あがる。しかし合計試算表だけでは、まだ決算書に書き移すことは出来ない。合計試算表をもとに清算書なるものを作成する。当社が使用している清算書は左から合計試算表、それに調整するための整理記入、損益計算書、貸借対照表のそれぞれ貸方、借方の項目ごとに一覧になった表だ。ここで、後述の減価償却費、損益計算書欄に当期損益などを計算、調整して記入していく。損益計算書、貸借対照表の各貸方、借方合計が一致していれば清算書の出来上がりだ。そしてこの右2つの欄が決算書となる。

試算表から決算書へ

試算表の中の清算書までできていれば、決算書はほぼ出来上がったようなものだ。決算書もネット上でテンプレートが選ぶほどあるので検索して欲しい。
清算書のうちの損益計算書、貸借対照表を決算書のそれぞれに書き写す。これで三部構成の決算書のうち2部は出来上がりだ。そして最後に株式資本等変動計算書を記入する。これは資本金と当期損益により、期末の資本金がどれだけになった科の変動を記載するものだ(名前そのまま)。その年が赤字なら資本金から損金が生じ、期末の資本金額はそれだけ目減りする。逆に黒字なら期末の資本金額があがるということだ。
貸借対照表、損益計算書、株式資本等変動計算書についての注記表を添付すれば決算書が出来上がる。注記表とは会社を経営する上で従う必要のある会社法と会社計算規則により作成を義務付けられている書類で、一言で言えば決算書がどの法律に基づくものかを記載した書類といえるだろう。これは会計年度により変わるものではないので、毎年同じ書類だ。

決算書をもとに確定申告

税務署に法人税の確定申告をする際、決算書をもとに様々な書類を追加しなくてはならない。それは
  • 確定申告書(別表1)
  • その他別表類(別表2以降)
  • 勘定科目内訳書
  • 法人事業概況説明書
などだ。決算が終わったころを見計らって、税務署からこれらの申請書類一式が届く。国税庁のホームページからも各書類のダウンロードが出来るので、届く前に計算しておくことが出来る。ただしダウンロードできるのはPDFファイルで、自分で計算して手書きで記入していかなくてはならない。万が一税務署から届いた書類を書き損じた時のバックアップ書類みたいなものだ。
既に決算書が出来上がっているので、確定申告書類は8割方終わったようなものだが、実はこれらの書類作成が結構面倒だ。
多少決算書類に目を通した人ならお分かりかと思うが、決算書と確定申告書上の損益額は違う。申告書に沿って書類を作成し最終的に法人税額を決定するため、損益額から法人税額を引いたものが当期の純損益となるからだ。法人税額を算出するために使用するのが別表書類だ。以下当社のような小規模企業にとって必要な別表類について説明する。
特に大事なのは別表4「所得の金額の計算に関する明細書」で、この書類の一番下「所得金額または欠損金額」に記載される金額が確定申告書や地方法人税・事業税の申告に関わってくる。当社の場合青色申告の届け出をしているので、利益が出ていても過去7年にさかのぼって欠損金がある場合は当期控除額に充当することが出来る。つまり、過去の欠損金がある場合は利益分から過去の欠損控除額を差し引けば、実質法人税はゼロになる。そしてこの明細を記入するのが別表7(1)「欠損金又は災害損失金の損金参入等に関する明細書」だ。
機械装置(パソコンなど)の減価償却について記載するのは別表16だが、これは定率法と定額法があり、それによって書類が若干変わる。一般的に企業の減価償却は定率法を適用するということを最初に教わったので、以来機械装置の減価償却は定率法によって算出している。さらにその購入日により、旧定率法と新定率法がある。現在当社ではその明細を別表16(2)「旧定率法または定率法による減価償却資産の償却額に関する明細書」に記入している。試算表及び清算書を作成する際先に減価償却費を算出しておかなくてはならないので、国税庁のホームページからこの別表だけダウンロードして手書きで算出する。
その他いつも提出するのは別表2「同族会社等の判定に関する明細書」や別表5(1)「利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書」及び別表5(2)「租税公課の納付状況状況に関する明細書」などであり、この名前を見るだけで頭が痛くなるような書類ばかりだ。会社状況によってはさらに必要な別表があると思うが、当社は今のところこれだけで事足りている。
その他勘定科目内訳書を用意しなくてはならない。主なものは以下の通りであり、通常経理事務を行っていれば描くことが出来るものだ。
  • 預貯金等内訳書
  • 仮受金の内訳書
  • 役員報酬内訳書
  • 地代家賃等内訳書
なお、これらの書類には必要な添付書類(銀行の残高証明書など)を用意する。
法人事業概況説明書は確定申告に直接関係するものではないが、企業の状況を把握するための書類のようだ。確定申告書類と一緒に綴じ込んで提出してはいけないと言われており、いつも別に提出する。

最初はこれらすべて手書きで行っていたが、ネットで検索していきついたフリーウェイ・ジャパンが提供する「フリーウェイ税務」がとても便利だ。このサイトに登録すると無料で決算書に基づく確定申告書類を作成・保存することが出来る。金額は自動計算、さらに前年度のデータを引き継いで算出するのでとても便利だ。その他勘定科目内訳書、法人事業概況説明書も作成できる。上述の減価償却費算出の際、まず最初にこのサイトで計算して別表16(2)を作成しておく。
独学でやってきた決算及び確定申告だが、自動計算と書類作成が手軽にできるこのサイトには大変助かっているので、個人事業主や当社のようなSOHOの会社経営をしている人は一度検討してみる価値があると思う。その他「フリーウェイ経理」、「フリーウェイ給与計算」など様々な製品を用意している。やたらお高い税務会計ソフトよりずっと便利かもしれない。

まとめ

余計な経費をかけることなく会社を運営していかなければならないSOHOでは、自分でできることは自分で行い、無料で使用できるものは精査の上使用し、やたら紙でプリントすることなく業務をこなすことが必要になってくる。15年の間毎年決算と確定申告を行ってきて、経理や簿記のことをほとんど知らなかった自分が、ここに書いたことは一通り出来るようになった。
今回は旅行業からは少し離れた会社運営に関する記事となったが、少しでも同じようなことで奮闘している人達の参考にでもなってくれればと思う。
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