SOHOによる旅行会社の作り方10 - 旅行業登録実務


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今までSOHOで旅行会社を作るためのあれこれを書いてきたが、そもそも旅行会社を開業するまでのあれこれは書いていなかった。鞄を持って得意先を1軒1軒まわる昭和スタイルの営業は、今や旅行業には不要だ。ということは、極端ではあるが旅行実務のノウハウがあれば旅行会社は作ることが出来る。それはたとえ新人であっても、自分の顧客を持っていない人でも、だ。そこで、新しいスタイルの旅行会社を開業するまでの細かい実務について少し書いてみる。
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旅行業務取扱管理者の資格

新人でも旅行会社は作れるという乱暴なことを書いたが、旅行業登録のためには「旅行業務取扱管理者」の資格が必要だ。これを取得していなければ、いくら実務経験があっても旅行会社を作ることは出来ない。ただし、自分だけで会社を作るならともかく、だれかと共同出資で起業するなら別だ。社員のうち誰かが旅行業務取扱管理者を持っていればいい。
登録種別は第1種~第3種まであるが、第1~2種は後に書く基準資産額や営業保証金がバカ高いので、SOHO向きではない。これから旅行業で起業するという人には第3種旅行業、もしくは旅行業代理業が適切だ。ここでは自由度が低い代理業は除いて、第3種旅行業で開業するまでを書いてみる。
第3種旅行業の場合、最初は旅行業務取扱管理者は1名で登録可能だ。後に毎年の売上額により、あるいは営業所を増やすことにより管理者を2名以上に増やす必要が出るかもしれないが、最低1名の取扱管理者を確保することである。

基準資産額と営業保証金、弁済業務保証金分担金

次に基準資産額と営業保証金についてだ。

基準資産額

旅行業は常に基準資産額との戦いである。これをクリアしなければ更新登録が出来ないし、開業時にもこれは求められる。第3種旅行業の場合、直近の決算報告書の貸借対照表から、

資産合計(A)ー負債合計(B)ー営業保証金又は弁済業務保証金分担金ー資産の部にある▲の額

が300万円以上でなければならない。だが新規に起業する場合、貸借対照表には開業資金分しか記載されないので、余計な計算は不要だ。つまり、開業資金としてまずは300万円以上用意する必要がある。2005年に会社法が変わり、1円から起業できるようになったのに、300万円も開業資金を用意する必要があるというのは少々ナンセンスな気がするが、常に夜逃げや倒産という悪いイメージがある旅行業界なので、致し方ないことだろう。

営業保証金、弁済業務保証金分担金

次に営業保証金についてだ。旅行業法に記載されている通り、旅行業を営むには営業保証金を供託しなくてはならない。昨年某旅行会社の騒動により、この営業保証金がクローズアップされたので覚えている人も多いだろう。万が一の際の顧客への補償にあてがう金額のことだ。

第1種は7,000万、第2種は1,100万、第3種は300万円を供託するのだが、旅行業協会に加入した場合、協会の会員全体で保証金を分担する制度がある。これが弁済業務保証金分担金で、営業保証金額の5分の1を協会に供託すればよい。つまり第3種なら60万円ということになる。

基準資産額の算出において、この営業保証金または弁済業務保証金分担金のいずれかを予定して計算することになるので、開業資金として最低用意するのは300万円+営業保証金または弁済業務保証金分担金の合計となる。

当社の場合、最初から日本旅行業協会への加入を考えていたので、入会金も含め最初の資本金は420万円で開業し、登録申請をした。
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書類作成

旅行業務取扱管理者の確保、基準資産額、営業保証金または弁済業務保証金分担金を見据えた開業資金を用意すれば、旅行会社は開業できたようなものだ。あとはペーパーワークとなる。

会社設立登記

まずは会社設立登記に必要な書類、定款を作成し、それを公証人役場で認証してもらう。次にメインバンクを決め、出資金(開業資金)の払い込みをし、払込証明書を発行してもらう。そして法務局で登記申請だ。
会社の定款はのちのちも会社の基礎となる大事なもの。事業の目的や役員について、本店の所在地や営業日に関すること、決算その他会社の運営についての取り決めを書いたものだ。ネット上で定款のひな形が簡単に探せるので、まずはそのひな形を利用するのが良いだろう。
その前に会社の代表印や銀行印を作成しておき、印鑑証明をしておくことだ。開業までのペーパーワークに不可欠である。
会社登記申請も、恐れることはない。つまりはペーパーワークなのである。必要な書類(これもネット上で丁寧に解説されている)を取り揃えたら、それをもって法務局に申請するだけだ。

旅行業登録申請

無事会社設立登記が済んだら、やっと旅行業の登録だ。第3種旅行業の場合、最寄りの都道府県に申請する。申請に必要な書類は旅行業協会でセットになって販売しているので、それを利用するとよい。筆者の場合、前籍の旅行会社で登録に関する一切を担当していたので、この辺のペーパーワークはお手のものだ。少し乱暴な言い方をすれば、都道府県の旅行業登録の担当者が見るところは基準資産額だけといっていい。そして後々の更新登録についても、これがクリアしなければ話にならない。旅行業が如何に信用で成り立っているか、信用に値するのは財務状況だということが洗われている。
登録申請については、当社が加入している日本旅行業協会の「旅行業の登録制度の概要」ページに詳しく出ているので、そこを参考にしてほしい。

旅行業登録を済ませると、1カ月弱で登録可否の連絡が来る。今の旅行業は認可制ではなく登録制なので、上述の通り基準資産額さえしっかり用意すればほぼ登録は可能だ。登録とは正しく届出をするという意味なので、以前の認可制度よりもゆるやかだといえる。

これでめでたく開業となる。旅行業登録を済ませたら、必要に応じ旅行業協会に加入する。

まとめ

会社設立、旅行業登録までは資金を用意し、ペーパーワークさえ正しくできれば誰でもできる。問題は開業後だ。会社は営業し続けることで意味を成す。3カ月で店じまいするラーメン屋のようでは、会社は成り立たない。
だが最初に述べた通り、今は鞄を持って営業する時代ではない。ネットを駆使して集客し、他とは違うオリジナリティを持って営業すれば、細々ながら営業し続けることが出来る。

開業を決意するまでは「果たして食べていけるのか?」ということばかり考えていたが、やってみなければわからないものだ。薄利な業界だが夢を売る商売、やってみる価値がある。
今他の旅行会社、あるいは他業種に転職しようかと考えている人は、一度独立起業を考えてみるのも良いかもしれない。

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